呉美保監督による吉沢亮主演の映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」(英題「Living in Two Worlds」)が9月20日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開する。このたび、6月14日から23日に中国・上海で開催された第26回上海国際映画祭に吉沢と呉監督が参加した。
耳のきこえない母ときこえる息子の物語「ぼくが生きてる、ふたつの世界」
本作は「そこのみにて光輝く」(2014年)の監督を務めた呉による9年ぶりの長編作品。テーマに選んだのは、コーダ(Children of Deaf Adults/きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子供という意味)という生い立ちを踏まえて、社会的マイノリティに焦点を当てた執筆活動をする作家・エッセイストの五十嵐大による自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」。
脚本を担当したのは、「ゴールド・ボーイ」(2024年)、「正欲」(2023年)などを手掛ける港岳彦。「キングダム」シリーズや「東京リベンジャーズ」シリーズなど幅広い作品に出演する吉沢が、耳のきこえない両親の元で育った息子・五十嵐大を演じる。
呉美保監督のオファーに吉沢亮「ぜひやらせてくださいと受けさせて頂きました」
ワールドプレミア舞台挨拶の冒頭で、吉沢と呉監督が「ニーハオ」と中国語で挨拶を披露。続いて司会者からの「吉沢亮さん、デビュー15周年おめでとうございます!」という言葉には観客からも大きな拍手とお祝いの声が沸き起こった。
まず司会者から、映画祭参加の感想を問われると、吉沢は「個人的な話で申し訳ないんですけど、僕がアクター(俳優)を始めて15周年ということで、そんな記念すべき日に、こうやってたくさんの方に、この中国という場所で、みなさんとお会いできて、こうやって温かく迎えて頂いて、本当に幸せな日だなと。すごくうれしいなと、喜びをかみしめております。(中国語で)謝謝!」と笑顔でコメント。
呉監督は、アメリカ映画「Coda コーダ あいのうた」(2021年)からの影響についての質問に対し、「私も『Coda コーダ あいのうた』(以下「コーダ」)が大好きで、何度か鑑賞させて頂いているんですけれども、この『ぼくが生きてる、ふたつの世界』に関しては、『コーダ』が日本で公開する前に企画を始めているんですね」とコメント。
続けて「そして、『コーダ』が公開されて、タイミング的にも、勉強になることがたくさんありました。そのひとつとしては、ろう者の役を本当のろう者の俳優さんにやって頂くということが、すでにされていたので、これはアジアという場所でも、ぜひとも実践をしたいなと思いました」と熱く回答した。
そして、本作で難しい役どころを演じた吉沢は、出演を決めた経緯について「呉監督の過去の作品が大好きで、何回も観させて頂いていて、いつか、呉監督とご一緒したいなとずっと長年思っていました。そのタイミングで、今回お話を頂いて、ものすごくチャレンジングな役ではあるなとは思いつつ、その演じている役の状況だったり、まわりの環境はとても特殊ではあるんですけど、この作品で描いているのは、ものすごく普遍的な親子の関係というか、反抗期的なものであったり、でもその中に垣間見れる親子の愛みたいなことが、とても愛おしく感じて。すばらしい作品だなと思ったので、ぜひやらせてくださいと受けさせて頂きました」と答えると、会場からは再び大きな拍手が沸き起こった。