配信サービス・TVerティーバーにて「俳優ドラマ特集」が6月7日より開始された。今回は夏ドラマに出演する有村架純、櫻井翔、成田凌、二宮和也、福原遥、水川あさみの出演作品、合わせて約30作品が無料で配信されている。その中から女性陣のおすすめ作品を数本ピックアップし、改めてその魅力を紹介する。
「海のはじまり」の前に視聴必須!有村架純“月9”初主演作
7月1日よりスタートとなるのは、Snow Manの目黒蓮が月9初主演を飾る「海のはじまり」(フジテレビ系)。社会現象を巻き起こした「silent」(同局)のスタッフが集結する本作は、目黒演じる主人公の夏が、別れて以来、7年もの間会うことがなかった元恋人の死をきっかけに、自分と血のつながった娘・海(泉谷星奈)の存在を知ったことで人生が変化していく物語だ。
本作のヒロインで、夏の恋人・弥生を演じるのが有村架純。有村の月9出演は、2016年1月期に放送された「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(以下、「いつ恋」)以来、実に8年ぶりとなる。このドラマは、連続テレビ小説「あまちゃん」(NHK総合)でブレイクを果たした有村の民放連続ドラマ初主演作。地方から上京してきた6人の若者たちが恋に夢にもがきながらも懸命に生きる姿を描いた群像劇で、有村はヒロインの音を演じた。
女手一つで育ててくれた母親を亡くし、北海道のさびれた町で養父母と暮らしていた音。しかし、20歳年上の資産家の男との結婚を強いられるなど養父から酷い扱いを受け、逃げるように上京するも介護の過酷な労働環境に身を寄せることになる。恋に落ちた相手・練(高良健吾)ともすれ違いばかりで、とにかく理不尽なことばかり起きるドラマだが、それでも見続けられるのは有村の瑞々しさがあってこそだろう。有村は本人にどこか陰があることもあり、音のように不幸な境遇のヒロインを演じることが多い。けれど、決して濁り切らない芯の強さが垣間見え、辛い展開の中にも希望を感じることができる。
今回、演じる弥生も結婚を考えていた相手に突如、子供がいることを知る役どころ。血が繋がっていない恋人の娘と彼女はどう向き合っていくのか。その葛藤も含め、弥生が長い時間をかけて導き出す答えに注目していきたい。なお、「いつ恋」は本作で脚本を務める生方美久が敬愛する坂元裕二が手がけており、生方の才能を見出したプロデューサー・村瀬健がタッグを組んだドラマでもある。そういう意味でも「海のはじまり」が始まる前に、視聴必須の作品と言えるだろう。
愛らしさ抜群の“国民的妹”福原遥 「マル秘の密子さん」で新境地開拓となるか
7月13日よりスタートの「マル秘の密子さん」(日本テレビ系)で主演を務めるのは福原遥。連続テレビ小説「舞いあがれ! 」(NHK総合)ではオーディションでヒロイン役を勝ち取り、来年の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(同局)にも出演が決まるなど、近年の福原は俳優としての活躍が目覚ましい。子役時代にNHK Eテレの子供向け料理番組「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」で“まいんちゃん”として長年親しまれていたこともあり、国民的妹とも言える彼女は老若男女問わず多くの人から愛される存在だ。
福原の愛らしさを作り出している一つの要因は、その声だろう。優しく透明感がある福原の声はエンジェルボイスと言っても過言ではないほど癒し効果がある。その声を生かし、声優業も行なっている福原は人気アニメ「プリキュア」シリーズで有栖川ひまり/キュアカスタードを演じた。
そして同シリーズの15周年を記念したドラマが「声ガール!」(テレビ朝日系)だ。福原はこのドラマの主演を務め、スカウトされて声優の世界に飛び込む八百屋の看板娘・真琴を演じた。リアルに描き出された、華やかだけど厳しく険しい声優の世界で奮闘する真琴。こういう健気に頑張るヒロインを演じさせたら、おそらく福原の右に出るものはいないだろう。それくらいコロコロと変化する福原の表情はなんとも愛らしく、自然と応援したくなる。
「教場Ⅱ」(フジテレビ系)では、警察学校の冷徹な教官・風間公親(木村拓哉)の教え子を演じるキャストの一人に名を連ねた。福原扮する忍野めぐみは体力に乏しく、自信もない。見るからに頼りなげな雰囲気を福原はよく体現していた。一方で、ある強い思いを胸に必死に食らいついていく様は自然と応援したくなるものだった。
そんな福原が、「マル秘の密子さん」ではこれまでのイメージをガラッと変える役に挑戦する。福原が演じる謎に包まれた“トータルコーディネーター”の本宮密子。どんな手を使っても依頼者を必ず成功させるダークヒロインとのことで、パッと聞いただけでは福原と結びつかないキャラクターだ。この役で新境地開拓となるか。福原の声の出し方や雰囲気作りにも注目したいところ。
TVer初配信「失恋ショコラティエ」で女性視聴者の“共感”をさらった水川あさみ
今年も多種多様なラインナップが揃った夏ドラマ。その中でも先陣を切って、6月28日にスタートするのが水川あさみ主演の「笑うマトリョーシカ」(TBS系)だ。本作は早見和真の同名小説を原作としたヒューマン政治サスペンスで、水川は若き人気政治家・清家一郎(櫻井翔)を巡る欲望の渦に巻き込まれていく新聞記者を演じる。
水川がTBSの連続ドラマに出演するのは、2016年の金曜ドラマ「わたしを離さないで」以来、8年ぶり。同作は日系英国人作家カズオ・イシグロのSF小説を世界で初めてドラマ化し、生まれながらにある使命を与えられた3人の男女が生きることや愛することに真摯に向き合う姿を描いた。
その一人、水川演じる美和は自分が一番でないと気が済まない、勝気で小悪魔的な女性。幼い頃から一緒に育った恭子(綾瀬はるか)とは友人だが、内心では嫉妬が渦巻いており、散々彼女のことを振り回す役どころだ。クールビューティーで明るくサバサバしたイメージのある水川だが、このドラマでは美和の幼さや狡さを見事に体現しており、思わず嫌いになりそうな瞬間さえある。それでも100%憎みきれないのは水川の演技に「本当はこんなことがしたいわけじゃない」という美和の心の叫びが表れているから。気持ちと行動が一致しない人間の葛藤を水川は圧巻の演技でまざまざと突きつけてくる。だから、一見嫌な役でもどこかに共感できるポイントがあるのだ。
水川といえば、「失恋ショコラティエ」(フジテレビ系)でも女性視聴者の共感をさらった。同作はチョコレート専門店「ショコラ・ヴィ」オーナー・爽太(松本潤)に密かに想いを寄せるパティシエール兼ショコラティエールの薫子。小悪魔系女子の紗絵子(石原さとみ)に振り回されっぷりの爽太についキツイ言い方をしてしまう不器用な彼女に思わず感情移入してしまった人も多いのではないだろうか。どんな役でも人間味があって共感できるのは水川の手腕によるものだ。なお、TVer初配信となる「失恋ショコラティエ」には有村架純も爽太の妹・まつり役で出演している。ブレイク直後の初々しさ残る有村の姿も貴重なので、ぜひチェックしてみてほしい。