科学が絡んだ“小比類巻の家族”に関する秘密にも注目
本シリーズでは、物語が進むごとに少しずつ明かされていく、“小比類巻の家族の秘密”も見どころの一つだ。妻の亜美(本仮屋ユイカ)を亡くし、娘の星来(鈴木凜子)と暮らす小比類巻だが、彼は亜美への想いが強すぎるあまり、なんと彼女の遺体を冷凍保存しているのだった。星来を出産後に意識不明になり、亡くなってしまった亜美。命と引き換えに生んだ娘を一度もその手に抱くことができなかった妻と、母親と一度も会ったことがない娘を会わせたいという想いから、科学の未来に望みを託しながら葛藤する小比類巻の姿が描かれる。
また第8話以降では、亜美の出生の秘密や娘の星来、そして小比類巻自身に迫る危機についても色濃く描かれている。
異色コンビが織りなす捜査…科学の未来と人類の価値とは
不可解な現象から科学的なトリックとその裏に隠された人間模様を描いた本作。最先端科学の進歩による便利な日常を持ち出しつつ、それに疑問を投げかけるような形で“科学による人間への影響や人間そのものの価値”も同時に描いているため、より深みのある作品に仕上がっている。
その中でも本作でタッグを組む小比類巻と最上は、一見良いコンビだが、実は根本的な考えは相反する部分が随所に見られた。小比類巻は死別した妻をいつか科学の力で生き返らせようとしている。実際に第3話でも、遺体が蘇生し歩いたことで“死者の蘇りは可能かもしれない”と科学の進歩に期待を抱く描写があった。
一方の最上は、過去に危険なウイルスを生成してしまったことから、「科学者は、悪意がなくてもパンドラの箱を開けてしまうことがある。一度開けた箱は二度と閉められない」と、その進歩に疑問を呈する様子が描かれている。
最先端科学に関する事実や精巧なトリックだけではなく、この2人がコンビを組むことで考え方の違いが浮き彫りになり、科学の進歩と人の価値について考えるきっかけを与える作品となっているのだ。
最先端科学の裏に様々な人間ドラマが垣間見える「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜」Season1・Season2は、Huluにて全話配信中。
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