「この声をきみに」(毎週金曜夜10:00-10:50、NHK総合)は朗読を題材に、さえない数学講師・穂波孝(竹野内豊)が人生を変えるため奮闘する姿を描くヒューマンコメディー。孝が通う朗読教室「灯火親(とうかしたしむ)」には謎多き講師の京子(麻生久美子)や、個性的な生徒たちが集結。その人々との関わりが、孝に変化をもたらしていく。
生徒の1人である磯崎泰代は、普段は有能な経理担当として働き、幼い頃から文学や芸術が苦手。他人の気持ちや恋愛に興味を持たないまま一生を終えることを寂しく思っていた時に朗読に出会う。そんな泰代を演じている、片桐はいりにインタビューを行い、朗読をする演技の難しさや、役に対して思うことなどを聞いた。
自分の声は、自分では分からない
――このドラマは声がテーマですが、ご自身の声の特徴はどんなところだと思いますか?
私全然分かんないんです。声がいいとか悪いとか思ったこともないし。自分の声って、基本的には分かんないでしょ?
でもある時、お蕎麦屋さんで後ろに座ってた人に「片桐はいりさんでしょ! 声で分かった!」って言われて。その時に初めて声で分かるんだと思って急に面が割れたみたいな。それまで電話の問い合わせとかも平気で「片桐です」って名乗って「安売りいつまでですか」って聞いたりしていたんですけど、もしかしたらそれがバレていたのかもしれない! って思いましたね。
俳優さんでも声がいいとキュンとする時とかあるじゃないですか? だから、そういうことを自分もできるといいなと思いながらやっていますけど、分かんないですね。
――今回の役柄を演じてみてどのように感じましたか?
私は数学0点で国語が100点みたいなタイプで、数字が苦手で芸術が好きなので真逆の性格なんです。でも、バランスが悪いっていう意味では一緒だと思いました。
――「朗読教室では、お互いのプライベートに入り込みすぎないのがルール」というセリフがありましたが、片桐さん自身はどう思われますか?
私も、距離感って重要だよねって思うのですごく分かります。あと「1人で生きていくのっていいわよ」と言っている場面もあるんですが…でも口に出す言葉って、思っていることとは違う場合もあるじゃないですか?
なんか、“そういうことを言う人”っていう感覚で捉えています。“そういうふうに思っている人”っていうよりは。そういうことを、人に向けて言う人って。
――自分の生活をあまり話さない役ですが、演技をする時にバックボーンを意識することはあるんですか?
しますけど、分析みたいになってしまって「数字が好きな人はこうだ」って作り上げてしまうと面白いことにならないと思っていて。作りたい設定の時もあるんだけど、今回の役ではあんまり考えていないですね。
毎週金曜夜10:00-10:50
NHK総合で放送