きっかけって別に重要じゃない
――「タカラのびいどろ」は大進が宝を追いかけて上京するところから物語が展開していきます。小西さんは広島県出身、岩瀬さんは兵庫県出身ということで、お二人の上京した際のエピソードを教えてください。
岩瀬 僕は半分飛び出した形だったんですよ。僕、やりたいことしか全力を注がないって決めていて。上京したのは16歳、高校1年生のときだったんですが、地元での生活に飽きてきて、刺激が欲しかったし、自分がやりたいことを見つけたかったので、とりあえず東京に出てきました。
――やりたいことを見つけたくて東京に来たということは、夢を目指して出てきたわけではない?
岩瀬 はい。もちろんそのタイミングで芸能の仕事もやっていたというのは上京の1つの理由なんですが、とにかく地元にいても何も始まらないなと思って、とりあえず出てきたんです。それで半年間くらい東京の学校に通っていたんですが、受験期が来て実家に戻って。ただ、大学って学びたいことがあるから行く場所。学びたいこともないのに大学行ってどうするんだろうと思って、受験はしたんですけど、大学には入らず。また東京に出てきて、今の事務所に入ったという経緯です。上京したときの気持ちは、焦りでしたね。16歳の時点で、焦っていました。「ここにいても何も始まらない! とにかく東京に行かなくちゃ」っていう。
小西 16歳で? すごいな〜! 僕も半分くらいは飛び出した感じだったかもしれないです。僕は「役者になりたい」とまでは当時は思っていなかったけど、漠然と「芸能の仕事がやりたい」くらいの気持ちで上京しようとしていたので、周りにはすごい反対されましたね。
――ということは、お二人は宝を追いかけて上京した大進の気持ちに共感できる部分もあるのでしょうか?
岩瀬 そうですね。僕はきっかけって別に重要じゃないと思うんですよ。上京するにあたって、「これをやるぞ」とか「これしかない」って強い気持ちで出てくるのと、「ちょっと刺激が欲しい」とか「ちょっとやってみたいな」くらいで飛び出すのって別に、仕事のキャリアや結果には比例しないじゃないですか。スタートは何でもいい。スタート地点に立ったそのあとが大切なのかなと。それでいうと、大進も結構特殊な理由で出てくるじゃないですか。
小西 結構ヤバいよね(笑)。
岩瀬 そうそう、一般的に見たら「もうちょっと考えたほうがいいんじゃない?」っていう出方をしてるわけじゃないですか。でも僕はアリだと思う。
小西 うん、僕もアリだと思った。
岩瀬 まぁ宝役としてはビックリはするけどね(笑)。
小西 ビックリはするよね(笑)。僕は大進と自分がちょっと重なりました。理由は何であれ、飛び出すとか、その決断力って大事なんだなって。僕も19歳のときに上京してきてよかったなって思いますし、これからもそういうところは大切にしていきたいなと思いました。
――今作での経験も踏まえ、現在考えている俳優としての今後の展望や目標を教えてください。
岩瀬 今作を通して学ぶことが本当に多くて。1カ月半くらいほぼ毎日撮影があったので、その期間、自分がどれだけ頑張れるかということも確かめたかったし、僕より全然先輩である詠斗くんが現場でどういう振る舞いをするのか、どんなことを考えてお芝居をしているのかとか、そういうものもたくさん学ばせてもらって。また、今回はW主演ということで、スタッフさんと関わることも多かったので、周りの方への感謝とリスペクトを忘れてはいけないなと再認識もしました。今回学んだことをすべて自分の中に取り入れることで、さらに俳優としての幅を広げていきたいなと思っています。
小西 ほとんどが宝と大進の二人のシーンで。1カ月以上、朝から晩までずっとお芝居をさせていただきました。こんなに毎日お芝居を浴びることはなかなかないと思うので、その時点でたくさんの学びがありました。思いきり悲しんで泣いたり、思いきり怒ったりって、人生でそこまで何度も経験することじゃないと思うのですが、それを毎日のように浴びて、むしろ日常に戻れるのかちょっと不安なくらい。そこがお芝居の面白いところだなと思いましたし、これからもやっぱり毎日お芝居を浴び続けたいなと思いました。
――では最後に、「タカラのびいどろ」の見どころや注目してほしいポイントを教えてください。
岩瀬 全部が見どころですけど…僕のお気に入りのシーンは、冒頭の宝と大進が出会うシーン。だってそこがなかったら始まらないわけですから。撮影するときも「この作品の中で一番大切なシーンだよな」と思いながら撮影したので、ぜひ見てほしいですね。第1話で見られる場面なので。
小西 大進と宝の心情の変化を見せたいと思って、二人で話し合いながら作品を作っていきました。そんな二人の心情の変化のグラデーションには注目してほしいです。あとは原作にないシーンもあるので、ドラマになったことで新たに見える「タカラのびいどろ」という作品の魅力もあると思います。そういうものも見つけていただけるとうれしいです。
岩瀬 初めにも言いましたけど、世の中に、何かぬくもりや安心を与えられるような作品だと思うので、見ている人が少しでも気が休まればうれしいなと思っています。だからこそたくさんの人に見てほしいです。