コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回取り上げるのは、漫画家の岩飛猫さんによる『父狸は子狸に人間を食べさせたい』だ。
同作は、お互いの利害関係が成立した「罪人の男」と「女妖狐」による新婚夫婦を描いた『狐面夫婦』の一部を抜粋した作品。岩飛猫さんが自身のX(旧Twitter)にポストしたところ、注目を集めたようで約8000件の「いいね」が寄せられている。
そこで作者である岩飛猫さんに『狐面夫婦』を創作したきっかけや、『父狸は子狸に人間を食べさせたい』を描いた際のこだわりについて話を伺った。
少しずつお互いの魅力に気づいていく罪人の男と女妖狐
――罪人の「六捨(ろくすて)」は身を隠すために、女妖狐の「狐栢(こはく)」は人間の生気を吸うために、2人は自身の目的のために夫婦として暮らしていた。
狐栢の家で暮らし始めて1カ月が経った頃、外出を許されてなかった六捨は、「いい加減 暇を感じてきてるんだけどよ…」「そろそろ家の外に…」と狐栢に外出の許可をもらおうとする。しかし、狐栢から「あかん!!」「絶対に出たらあかんで!」と断られ、強く言い返されて落ち込む六捨。それを見た狐栢は胸が「ずきん」とする感覚になり、それが何を意味するのか、自身でもわからない様子だった。
のちに狐栢が用事で出かけると、六捨は「近くをうろつくくらい平気だろ」と勝手に外出。辺りを散策していると、一つの井戸を見つけて中を覗く。そこには、人間の骨が大量に入っていた。そこで「『ガラ入れ』じゃよ」と声をかけてきたのは、狸の「又次」だった…。
読者からは、六捨と狐栢がお互いの魅力に少しずつ惹かれ合っていく様子が好評のようで、「女妖狐の可愛さに沼ってしまいそう」「人間と人外のラブラブカップルをもっとみたい」などの反響が相次いでいました。
『狐面夫婦』が生まれたきっかけは「ズレたモノが描きたいなと考えた結果」
――『狐面夫婦』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
とりあえず自分の場合は、人外、人外と人間の異種間モノを描くという前提があって、その中でも刺激的な恋愛物に挑戦したかったのと、悪者に描かれがちな人外と心優しい人間のカップリングは、わりと王道なので、それとはちょっとズレたモノが描きたいなと考えた結果、「悪者×悪者」になりました。
元々はデビュー前、コミティア(自主制作漫画誌展示即売会)に出る際に描いた読み切り作品だったのですが、ネットに投稿したところ反響があったのと、丁度その頃、担当より双葉社の「JOUR」で漫画を描いてみないかというお誘いがあったので、連載向けに描き直した形になります。
――『父狸は子狸に人間を食べさせたい』を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
居場所を奪われたり、追い出されることは恐れるけど、自分の命には無頓着な主人公の六捨、双子の子狸を育てるシングルファーザーだけど、人間を食べる恐ろしい狸の妖の又次、そんな二者が出会って起きるコントのようなやりとりをぜひ楽しんで欲しいですね。
――『父狸は子狸に人間を食べさせたい』の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
狸親子のやりとりでしょうか。人間を食ってやろうと恐ろしい顔をしながら、眠る息子を抱えてお父さんしてる父狸、恐ろしさと穏やかさの共在は、自分がこの作品の妖を描く上で大事にしているとこだったりします。
――今後の展望や目標をお教えください。
結末をどうするか、決めないままにやりたいことだけをいろいろ用意しています。いつか主人公の六捨とヒロインの狐栢がお互いの本性を知る日が来るでしょうね。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
『狐面夫婦』を読んで下さりありがとうございます!
2人の愛情度が上がることを期待して下さる読者さんと、まだだ、まだ上がってないぞ!と頑なに認めない作家ですが、
そんなこんなで気付いた日には狐栢と六捨の関係がかけがえのないものになるといいですね。お楽しみに!ちなみにコミックス1巻も発売中です…!