コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、漫画家のふえふきさんによる『ツギハギだらけの最強勇者』をご紹介しよう。
同作は、主人公が異世界転生後に「勇者ゾンビ」として魔王討伐の旅に出る様子を描いた異世界系ダークファンタジー。ふえふきさんさんが自身のX(旧Twitter)に、エルフと獣人の少女が登場した回を『見知らぬエルフに助けられる話』と題して投稿したところ、8000件を超える「いいね」を獲得している。
そこで作者のふえふきさんに、『ツギハギだらけの最強勇者』を描いたきっかけや、『見知らぬエルフに助けられる話』の制作時にこだわった部分について話を伺った。
エルフに優しさに触れる孤独な獣人の少女
獣人の少女「ガランティア」は、水に落ちて次に目を覚ますと、知らない場所にいた。
近くには1人の見知らぬエルフ「ヘカテ」が彼女を見守っており、覚醒に気がつくと、「命に別状はありません」「この傷は儀礼刀ですね」と言いながら、ガランティアの目に巻いてある包帯をほどいていく。そして、包帯がほどかれると、そこには、儀礼刀によって傷つけられたガランティアの両目が露わになった。
ヘカテいわく、“完全に元通りには治せない”とのこと。それでもエルフが目の治療を進めようとしたところ、ガランティアは「余計なことを」「私なんか生きてたって…」と拒否。それを無視してヘカテはガランティアに近づき、強引に傷が治癒する魔法をかける。
ガランティアはヘカテの手を振りほどき、「治してだなんて誰も頼んでな―」と言いかけたところで、ヘカテの異変に気づく。ヘカテの右目から血が流れており、そして、ヘカテは「私の右目でダメージを肩代わりしました」「成功したようですね」と冷静に語るのだった…。
また、幼いガランティアの悲惨な過去にも触れられ、読者からは「マジで幸せになって欲しい」「抱きしめてあげたい」といった反響が相次いでいた。
先代担当のアドバイスが『ツギハギだらけの最強勇者』誕生のきっかけ?
――『ツギハギだらけの最強勇者』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
「勇者は魔王を倒すまで死なせてもらえないんだよなあ」と思って国が滅んでもゾンビになって徘徊する勇者パーティーを想像したのがきっかけてす。実はこの作品、最初は死体系ギャグファンタジーになる予定でした。しかし先代担当さんから「この設定で異世界転生ものを描いてみませんか?」と提案が。「転生する主人公が与えられる情報量は読者さんと同じなんです。世界観の伝え方やストーリーを練るヒントになるかもしれません」という案になるほど、と思い転生要素を絡めてストーリーを練り直したのが今のツギハギ勇者です。
――『見知らぬエルフに助けられる話』を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
見知らぬエルフに助けられた側の獣人の少女「ガランティア」の反応です。助けられたガランティアは自分のために平気で右目を犠牲にしたエルフ(ヘカテ)を理解できず、攻撃的な反応を示します。彼女の今までの心の傷、それに対して無表情ながら心根はとても優しいヘカテを表現できていたらいいなと思います。
――『見知らぬエルフに助けられる話』の中で、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
特に気に入っているシーンは「私が居なければみんな生き残れたのに」と自分を責めるガランティアを思わず抱きしめるシーンです。それに対してガランティアの呆気に取られた表情、そこから「何のつもりよ」と自分を律するように攻撃的になるガランティア。行動や表情でそれぞれの本当の気持ちが見えるシーンだと思います。
――『ツギハギだらけの最強勇者』の作中には多種多様なキャラが登場しますが、描く際は、どのように着想を得ているのでしょうか。また、特にお気に入りのキャラがいれば、ぜひ教えてください。
新しいキャラを作る時は既存のキャラクター同士の対立する要素や共通点を考えながら作っています。わかりやすいのは敵の「アレス」です。
彼は教会で主人公の「有川扇」と対立してきた追加キャラですが、
・目が印象的な扇に対して目を覆って見ないようにしてる(天師)
・扇が赤黒のデザインに対して青白のデザイン
・獣人であるガランティアと同じく理不尽に家族を失った境遇
といった背景があります。また、どのキャラも気に入っていますが、特に気に入っているのは「オフィーリエ(璃衣)」です。彼女はこの旅の中、扇を通して1番成長したキャラだと思っています。おそらく扇は、そのことにまだ気づいてないでしょうが…。
――今後の展望や目標をお教えください。
物語は終盤に入りつつあるので、最後まで扇たちの活躍を描き切ることが当面の目標です。今後は書籍化、単行本化を目指したいです!!
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも読んでいただきありがとうございます!!
『ツギハギだらけの最強勇者』がここまで連載を続けてこれたのは読者の皆様、サポートしてくださる編集部の皆様のおかげです。Xやコメント欄の感想やレビュー、全て嬉しいです。どうか完結まで見守っていただけましたら幸いです!!
5/1に電子書籍第7巻が発売されました!!
こちらは電子書籍用の描き下ろし短編もありますので、ぜひチェックしてみてください!