コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回注目するのは、漫画家の浅岡しゅくさんによる『剣に焦ぐ』だ。
同作は「サイコミ」で連載中の作品で、剣道と出会った不良少年「灰島了一」による超本格青春剣道ストーリーが描かれている。作者の浅岡さんが自身のX(旧Twitter)に、剣道地区予選大会三回戦前の様子を描いた話を『コワモテの先生がまた弁当に口出ししてくる』と題してポストしたところ、注目を集めたようで1.4万もの「いいね」が寄せられている。
作者の浅岡さんに、剣道マンガ『剣に焦ぐ』を創作したきっかけや、『コワモテの先生がまた弁当に口出ししてくる』を描いた際にこだわった部分などについて話を伺った。
部員の昼食を抜き打ちチェックする「コワモテ先生」
都立紅泉高校剣道部は、地区予選大会三回戦まで進み、部員一同は試合に備えて昼食を取ろうとしていた。そこで剣道部の厳しい顧問である「笹塚鉄夫」は、「脳と体のエネルギーを補給する食事も戦略の一つ」として、抜き打ちで部員の昼食をチェックし始める。
まず高校2年生3人の昼食は、コンビニで購入したおにぎりや惣菜パンなどの「コンビニ飯」。それを見て険しい顔をしている笹塚は「素晴らしい」「大会はとにかくエネルギーの素となる糖質を取ることが重要」と褒め称えた。さらに、「より効果的にエネルギーを吸収するために」と、りんごジュースやアーモンドなどを渡した。
続いて1年生の市ヶ谷勇一郎は、姉による手作り弁当で、これに対しても「素晴らしい」と褒め、「ちょい足し」でゼリー飲料を提供。また、了一の妹「灰島かなえ」は兄の試合を観にきたものの、昼食を持参していなかったが、笹塚は彼女のために自身の弁当を差し出した。
そして、了一の昼食は、たったの「サラダチキン」1個だけ。それを見た笹塚は「灰島」と声をかけて…。
Xにポストされた同作を読んだ人からは、「怖い顔の先生がひたすら褒める姿にくらった」「笹塚先生の優しさや発言に感動」など好評の声が上がっていた。
連載初期は生徒たちを拒絶する怖い先生だった
――『剣に焦ぐ』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
「サイコミ」で連載企画を練っていた際に、最初は全く別のスポーツの企画を出していたのですが、学生時代に剣道をしていたことを伝えたところ、絶対に剣道を描いた方がいいと言っていただき、一から作りました。以前別の媒体で、剣道漫画を連載していたのですが、長く続けることができず、剣道で勝負するのは難しいかもしれないと思っていたので、チャンスをいただけて嬉しかったです。
――『コワモテの先生がまた弁当に口出ししてくる』を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
笹塚の「個別ちょい足し」です。キャラクターそれぞれ家庭的金銭的事情がある中で、大会当日必要な栄養バランスをどう摂るか、という部分にぜひ注目していただきたいです。
――『コワモテの先生がまた弁当に口出ししてくる』の中で、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
生徒を全力で褒める笹塚です。連載初期は生徒たちを拒絶する怖い先生というポジションだったのですが、そんな笹塚が真面目な顔のまま大きな声で褒めるコメディシーンのおかげで、食事の知識を得ながら楽しめるバランスの良い1話になったと思います。
――『剣に焦ぐ』は剣道をベースにした物語ですが、やはり浅岡さんも剣道の経験があったのでしょうか。
小学4年生から高校まで剣道をしていました。今はすっかり観る専門なので、実際の大会を取材してできる限り“今”の剣道を描けるようにしようと気をつけています。
――今後の展望や目標をお教えください。
令和の剣道漫画といえば…となった時に名前を上げていただけるような作品の一つになれたら嬉しいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
6月30日に最新17巻が発売されました。実際に毎年夏に行われている「玉竜旗(ぎょくりゅうき)」という剣道史上最大規模の大会を題材にアツい試合が繰り広げられます。ぜひよろしくお願いします!