精鋭がそろったクリエーター陣
“平成ガメラ三部作”は製作スタッフも凄腕ぞろい。監督を務めたのは金子修介。日活ロマンポルノ作品をいくつか手掛け、1985年公開の「みんなあげちゃう」で初の一般映画の監督を務め、深津絵里らが出演した「1999年の夏休み」、織田裕二主演の「就職戦線異状なし」、佐伯日菜子のデビュー作「毎日が夏休み」などを監督として製作していた。怪獣好きで知られ、知識も豊富であることから「ガメラ」シリーズの監督にふさわしい人物だと言える。2001年に公開された「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」の監督も務めており、ガメラとゴジラの2大怪獣作品の両方を手掛けた初めての監督となった。2023年に行われた同作にまつわるイベントでは山崎貴監督とトークショーを行い、山崎監督からガメラの続編は作らないのかと斬り込まれ、「アイデアはあるんだけど…」と語っていた金子。既にアニメリシーズの「GAMERA -Rebirth-」はNetflixで配信されているが、うまくピースがハマれば実写版の“令和ガメラ”の製作も期待できるかもしれない。
三部作の脚本を担当したのは伊藤和典。テレビシリーズ「うる星やつら」で脚本家デビューし、1988年スタートの「機動警察パトレイバー」ではシリーズ構成を担当。「機動警察パトレイバー2 the movie」で毎日映画コンクールの「アニメ賞」「アニメグランプリ脚本賞」を受賞した。実家が映画館を経営していて、子どもの頃からいろんな映画を見て育ったという伊藤。その頃に見た怪獣映画が平成ガメラシリーズにもつながっているのだろう。「ガメラ 大怪獣空中大戦」ではヨコハマ映画祭「脚本賞」、おおさか映画祭の「脚本賞」も受賞した。
「シン・ゴジラ」の樋口真嗣監督も本シリーズで脚光
特技監督は樋口真嗣、美術は三池敏夫、造形は原口智生らが担当。樋口は1987年の「王立宇宙軍 オネアミスの翼」で助監督を務め、特技監督を務めた「ガメラ 大怪獣空中決戦」では日本アカデミー賞特別賞を受賞するなど、脚光を浴びた。その後、「ローレライ」で映画監督デビューし、「日本沈没」「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」「シン・ゴジラ」といった作品の監督を務めるなど、今の日本映画界に欠かせない人物になっている。三池は、「超電子バイオマン」などのスーパー戦隊シリーズ、「宇宙刑事シャイダー」といったメタルヒーローシリーズをはじめ、1989年の「ゴジラvsビオランテ」以降のゴジラシリーズなどにも特殊美術や美術監督として多く携わっている。原口は日本を代表する特殊メイクアーティストで、海外のコンペティションでも多くの賞を受賞。「さくや妖怪伝」「ウルトラマンメビウス」「ウルトラマンギンガ」などでは監督も務めており、筋金入りの特撮マニアとしても知られている。
今振り返ると、その道のプロが集結していたことが分かるが、この三部作を機に知名度を上げて活躍の場を広げた者も多く、現在からの視点で見ても重要な作品であることは間違いない。平成ガメラ三部作でしか味わえない迫力、緊迫感、映像美などをたっぷりと体感してもらいたい。
「ガメラ 大怪獣空中決戦」「ガメラ2 レギオン襲来」「ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」は、7月14日(日)朝7:00から昼1:30、7月19日(金)夜7:00から深夜1:00などに3作品続けて放送される。
◆文=田中隆信
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