固い絆で結ばれている登場人物たちの想いに注目
紀元前1万年、1965年、2021年と3つの時代が交錯しながら展開していく「ラ・ブレア」シーズン3。本シーズンでは、ヘレナとギャヴィンが隠した“マイクロチップ”をカギに、自らの利益のためにそれを狙う人物、そして記憶を頼りにただ“家族との再会”を果たそうとするギャヴィンの2人が対照的に描かれていた。
本作の大きな見どころとしては、家族や友人など、大切なものに対する登場人物たちの想いにある。まず、過去に家族と分かち合えず後悔してきたギャヴィンは、陥没穴に落ちた家族のピンチに直面し、押し込めていた想いが再燃。時には自らの危険を冒してまで家族を守ろうとする行動には胸が熱くなる。
またシーズン3では、ギャヴィンの実妹であるヘレナとのエピソードも注目ポイントだ。ヘレナとギャヴィンは政府の計画を阻止するためにマイクロチップを一緒に隠し、メキシコに国外逃亡したが、彼はヘレナ1人に罪を押し付けてしまう…という過去が明かされた。
このことからヘレナは家族の愛を知らず孤独に生きてきたが、ギャヴィンが心から謝罪したことでヘレナ自身も救われることになる。たとえ長い間会っていなくても、家族を想う気持ちは変わらないものだと実感できる、感動的なエピソードが描かれている。
さらに、紀元前1万年の人間と、タイムトラベルした生存者の間に芽生えた絆も見どころの一つ。生存者の一人であるタイは、紀元前1万年の先住民・パアラと結婚し、シーズン3ではパアラが行方不明になるシーンもありハラハラしたが、タイが必死にパアラを捜す姿が印象的だった。また彼らが一致団結して黒幕に立ち向かっていく姿からも、熱い絆が感じ取れる。
そして、ギャヴィンの娘・イジー(ザイラ・ゴレッキ)と先住民のレイラにも注目。2人の間には友人以上の絆が生まれ、レイラがタール池に沈みそうになった際も、イジーが必死に助けようと奮闘するシーンが描かれている。生きる時代や価値観が違うこともあれど、相手を尊重し思いやる気持ちを持つ登場人物たちの言動には、思わず胸を打たれるだろう。
陥没穴の登場により日常を失った生存者たちだが、過去の確執を乗り越えたり、新しい出会いがあったりと、ヒューマンドラマとしても非常に見応えのある作品に仕上がっている。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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