「柱稽古編」で描かれた一般隊士たちとの交流の意味
そして、本稿冒頭で記述した「柱稽古編」における「つながれる想い」だが、実はこのテーマがもっとも強く出ているのは一般隊士たちの描写の中だ。鬼殺隊であるからには彼らも鬼との戦いには覚悟を持って臨んでいるが、やはりその実力は柱には遠く及ばない。だからこそ少しでも柱の力になれるように稽古に食らいついていた。
そんな彼らは柱稽古を体験したことで、柱であれば上弦にも勝てると想いを託す。明らかに才覚が違う炭治郎にも、自分たちの想いを乗せていく。無一郎と紙飛行機を飛ばすシーンは象徴的なメタファーになっていた。みんなが大好きな村田さんもフォーカスされ、隊士1人1人が髪型、顔もしっかり描き分けされていたのにも意味がある。発表されたばかりで気が早いが、「無限城編」が始まる際にはぜひ今回の「柱稽古編」を再視聴してほしい。アニメオリジナルで強調された一般隊士たちの姿の意図が、より染みて分かるに違いない。
このように、「鬼滅の刃」では過去と現在をつなぐ想いや他者との尊い絆が描かれ、登場人物たちが支え合いながら前進していく姿が大きな感動と共感を呼び起こす。柱ではまだ幾人かの過去が明らかにされておらず、じつはメインキャラクターでも善逸、伊之助は過去のことが詳細には分かっていない。これらはきっと、次の「無限城編」で語られていくのだろう。
※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記。
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記。
※錆兎の「錆」は「金+青」が正しい表記。
※鬼舞辻無惨の「辻」は点一つのしんにょうが正しい表記。
■文/鈴木康道
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