最新作の楽しみは「ようやく真波と走れる」こと
──8月からは「舞台『弱虫ペダル』Over the sweat and tears」の上演が始まります。「舞台『弱虫ペダル』」シリーズの最終公演にもなりますが、楽しみなことはありますか?
島村龍乃介:荒北と真波と3人で走れることです。特に真波とはずっと「また一緒に走ろうね」って言って……の繰り返しだったので、僕も真波役の拓人くん(中島拓人)も「いつになったら走れるんだろう…」って言っていて(笑)。
3日目を描く今作でようやく走れるので楽しみですね。ただ、体力的には最後まで持つのか心配です。今、「The Cadence!」をもう一回やれと言われても絶対にできないですもん。
──「舞台『弱虫ペダル』」シリーズに3回出演している間にコツをつかんだりは?
島村龍乃介:それが…コツがないんですよ。毎回「お客さんがいるから」という気持ちと、あとはステージ袖でみんながシリコンバンドを振りながら応援してくれていたので、その応援を受け取って頑張れていました。
コツをつかんでいる方や、楽に走る方法を見つけている方もいらっしゃると思うのですが、僕は見つけられなかったですし、たぶん小野田もそういう走り方はしないと思います。気合いで行くしかないなと思っているので…そういう意味では、最後、どんな景色が見られるのかは楽しみですね。
──シリーズの最後を担うことにもなりましたが、そこに対するプレッシャーや不安はありますか?
島村龍乃介:うーん、不安はあまりないです。今まで通りやろうと思っています。プレッシャーを感じたら、変にいろいろ考えすぎてできなくなってしまうと思うので、いつも通り、ただインターハイの3日目を走るという気持ちで挑むと思います。
映像作品の現場での課題「すぐ感情を作れるように」
──最近は映像作品の出演も続いています。特に「アンメット ある脳外科医の日記」(カンテレ・フジテレビ系)第2話の出演の際にはSNSでも学びが多かったと投稿されていましたね。
島村龍乃介:はい、監督がよりリアルを求める方で。僕もリアルな芝居をしたいという思いがずっとあり、とても大きい経験になりました。共演者の皆さんもどこから芝居なのかがわからないくらいリアルなお芝居をされていて。僕も皆さんのお芝居に引っ張っていただき、本当にドラマの世界の中で生きているような感覚になりました。
役についてもものすごく考えましたし、考えることの楽しさも味わうことができました。学ぶことが多すぎて、実はお芝居しているときのことをあまり覚えていないんです。それくらい自然にできる環境を作ってくださったことにも感謝です。
──学びの多かった現場だったと思いますが、「アンメット」の撮影を経て感じたことはどのようなことでしたか?
島村龍乃介:それまで、ドラマの撮影はポンポン進むイメージがありました。実際、ものすごくスピーディに撮影が進む現場を経験して、そのスピード感に追いつけなくて悔しい思いをしたことがあったんです。どうしても感情が作りきれなくて。
でも「アンメット」は長回しもありましたし、「こういう撮影の仕方もあるんだ」と勉強になったと同時に、とてもやりやすく感じました。ただ、すべての作品がそういう環境ではないので、ポンポン進む現場でもよりリアルに芝居をするにはどうしたらいいのか、ということを考えるようになりました。そういう現場でもすぐに感情を作れるようにならなければと、今回を経て改めて強く感じました。
──そんな経験もして、舞台『弱虫ペダル』シリーズもこの夏で終わります。この先の俳優としての目標や展望を最後に教えてください。
振り幅を広げたいと思っています。小野田を演じていて感じることなのですが、小野田は自分と似ていないからこそ、毎回「こういう考えもあるんだ」という発見があります。そうやっていろんな役を演じて、いろいろなことを知っていきたいなと思います。そのためにも幅広い役柄に挑戦して、たくさんの人のことを知っていきたいなと思っています。
◆取材・文=小林千絵
撮影=八木英里奈
スタイリスト=藤長祥平
ヘア&メーク=Aki