加賀美零をどんどん山田涼介に寄せていった
――山田さんの役柄の、教師だけど裏の顔はCEOという設定はどのようにして誕生したのでしょうか?
複合的にできているんですが、僕の企画で学園ものをやりたいっていう1個の軸がずっとあって、プラス単純にエンタメを作る時にどういうのが好きかなって考えた時に、すごいやつが正体を隠してなにかやっているって結構王道だし面白いなと思ったんです。
最初は「Undercover Bilionaire」という、お金持ちの社長が自分の会社に特殊メイクをして潜入調査するみたいなイギリスのバラエティーがあるんですが、それを見て、身分を隠して何かをやるっていうのを学園ものでできないかな、と。
アメリカのヒーローとかも覆面でやっているし、 バットマンとかアイアンマンってすごくお金持ちだけど、普通のフリをしてマスクを被って助けてるなとか、 ロビンフッドとかルパンもそうだな…とか。もっと言えば、暴れん坊将軍とかもそうで。これは黄金パターンだなと思いました。
――そんな加賀美を演じている山田さんに、二面性みたいなものを感じる瞬間はありますか?
マジでナイスガイですね。あのスター性で、こんないい人なんだみたいな…。あと、スイッチのオンオフがすごいです。コメディーをやったあとに、ラストシーンの泣きのところに持っていくとか…。役者としても、人としてもすごいなと思っています。
――加賀美は、アクションもすごかったり、かなり要素が多いキャラクターだと思うんですが、「 山田さんが演じるからこの要素を入れてみようかな」といった、付け足したキャラクター性はありますか?
もう全部ですね。全部山田さんじゃないとできないです。アクションとかダンスとか、コメディーとか心情のお芝居とか…。 もちろん企画はあったんですが、キャラクターは山田さんにどんどん寄せていきました。
成長していく教師像はなかったと思う
――ドラマの中で要素として大事にしていることはなんですか?
ドラマとして大事にしてることは「100年前も100年後も変わらないことを書く」っというのをすごく考えています。「GTO」(1998年)を、この作品をやるにあたって見返すと、今見ても面白いんですよ。多分それって書いてる内容が今も人間の抱えてる問題とさほど変わっていないからなんです。
SNSの闇みたいなものは、この時代を切り取る時代性としてあるんですけど、 生徒や人の抱えてる悩みって根源的なものであるし、そこにアプローチする先生じゃなきゃいけないと思って。熱血や冷徹な教師像は過去にもいたと思います。そんな時にニュータイプを作るというのをすごく大事にしていて、それが今の加賀美です。市井の人たちの考えに触れて彼も成長していく。成長していく教師像ってなかったと思うので、王道だけどかなり斜め上を行く教師像を大事にしています。
――最後に3話の見どころを教えてください。
紺野(松田)と鈴木(柏木)の会なんですけど、 1、2話の2人のお芝居を受けて本当に気合が入っているので、2人のお芝居、 心情の機微をまずは見てほしいです。彼らが投げるボールの熱量は、絶対に画面の向こうにも届くと思うので、まっすぐキャッチしてあげてほしいです。