コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、夜風さららさんの漫画「狐の窓」。
作者である夜風さららさんが3月18日に「1話『狐の窓』」をX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、7.6万件を超える「いいね」が寄せられた。本作「狐の窓」シリーズは、もともとセリフのない「狐の窓」として2022年9月15日に投稿したX(旧Twitter)が23.4万いいねを獲得したところから始まる。
大反響を呼んだ「狐の窓」は読者のリスエストから多くのキャラクターが生まれていき、書籍「狐の窓~ゆるっと怪異~」へとより踏み込んだストーリーが展開していく。本記事では夜風さららさんに、作品のこだわりなどについてインタビューをおこなった。
妖怪を見られるかもしれない…古くから伝わる”狐の窓”とは
“狐の窓”とは、中指と薬指を親指とくっつけて狐の形を作り両手で組み合わせておこなう、古くからのまじない。組み合わせた手を決まった形で組み指の間をのぞくと、妖怪などの不思議な者の姿を見ることができるといわれている。
「1話『狐の窓』」では人間のナギが作る狐の窓から、女子学生に化けている猫又のコマコや鴉天狗の陣・二口女のさなえ・鬼のヒビキが正体を現した。ナギは霊感の強さから謎の少女・レンの妖怪専門探偵事務所「東雲(しののめ)探偵事務所」の助手として働いている。狐の窓で正体を表した妖怪の姿は個性的で、セリフなしの4コマで暴いていく展開が話題となった。
本作を投稿したX(旧Twitter)には、「全てのキャラが好き」「かわいいとカッコイイが渋滞すぎてニヤけが止まりません」「大好きな世界観」「全妖怪が魅力的」「怪異達の繋がり良き」などのコメントが多数寄せられている。
「SNSではあえて可愛さやコミカルな描写をメインに」作者・夜風さららさんが描く妖怪へのこだわりとは
――「狐の窓」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
最初のキッカケは突然アイデアが降ってきた事でした。狐の窓の手の組み方が3~4段階あった事を知っていたので、それを4コマ漫画に当てはめたら面白いのでは?さらに現代社会で人間に混ざって生活をしている妖怪達がいたら面白いかも?と思ってノリと勢いで描きました。
狐の窓は古くからある民間伝承なので、同じような漫画を描いてる方はいないか、念のため可能な範囲で確認をしてから漫画をSNSへアップした記憶があります。実は当時はまったく続きを描くつもりはありませんでした。それでも『他の妖怪でも是非見てみたい!描いてほしい!』とお声を度々頂いていたので、続きを描こうと思うようになりました。この作品が続く事になったキッカケは、皆様から頂けた優しいお声のおかげだと思っています。
――「狐の窓 1話」を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
1話だけでなく全話に共通している内容ですが、4コマ漫画にはあえて"呪文"は載せず、絵のみでストーリーが展開するところです。狐の窓は(細かい作法は色々ありますが)呪文を3回唱える事で妖怪を暴ける呪術です。私自身、呪いや祟りはあまり信じていない方ですが、"言葉"自体が人の脳に与える影響は大きいかと思いますし、それを何度も読者に読ませるのもよろしくない気がしたので、呪文自体はなるべく書かないようにしています。(書いたとしても全部は載せないなど)
見てほしいところは、1コマ目と4コマ目のギャップです。人間の姿から妖怪・人外になる様子を楽しんで頂けたら嬉しいです。
――本作の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
気に入っているシーンは、コマコが病院に連れていかれるシーンです。妖怪を見つけるだけではなく、その後のほのぼのとしたやり取りを描く事が好きなのでお気に入りの一つだったりします。
気に入っているセリフは、本作の主人公『ナギ』が正体不明の怪異を暴く時の呪文です。緊迫したシーンで唱えてほしかったので、お気に入りのシーンです。
――本作を拝見して、正体を表す前の人間と妖怪の特徴が上手く表現されていると感じました。本作のキャラクターはどのように生み出されたのでしょうか?
とても失礼かもしれませんが、街行く人々を見ながら『この人、実はあの妖怪が化けてるのかも』とか、あの職業はあの妖怪に向いてるかも?などの妄想しながら生み出してました。妖怪に関しては水木しげる先生と鳥山石燕先生の影響がとても大きいです。特に水木しげる先生は、子供の頃から大好きで画集も毎日眺めるほどだったのですが、最近は妖怪を怖がる方が周りに多くなった印象があったのでSNSではあえて可愛さやコミカルな描写をメインにしています。ガッツリ怖い妖怪もたまに描きたくはなるんですけどね。
――今後の展望や目標をお教えください。
一つは、私の作品を通して怖いものが苦手な方にも、“妖怪”を知ってもらえるキッカケになれたらいいなと。もう一つは、可能であれば2巻を出せたらと思っております。『狐の窓~ゆるっと怪異~』には、狐の窓の術を使う複数の登場人物がいます。今回の作品は、書籍化するにあたって初めてご覧になる方でも見やすいよう『ナギ』という人物を中心にストーリーが進みます。1巻では謎のままになっている出来事があり、それは『別の人物の視点』で明らかになる内容なのでそれを2巻で描けたらいいなと思っております。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
『狐の窓~ゆるっと怪異~』が書籍化まで辿り着けたのは、いつもSNSやPixivで暖かいお言葉をかけて下さった皆様のおかげです…!!本当にありがとうございました!!至らぬ点が多すぎる作家で本当に申し訳ないのですが、今後も自分の出来る範囲で頑張っていけたらと思います!どうぞよろしくお願いいたします!