'09年にテレビ朝日系で放送されたアニメ「秘密結社 鷹の爪 カウントダウン」の劇場版「秘密結社鷹の爪 THE MOVIE3 http:// 〜鷹の爪.jpは永遠に〜」が現在公開中。
今回の劇場版は、鷹の爪団が世界規模の陰謀に立ち向かう物語。映画「BALLAD 名もなき恋のうた」の山崎貴監督が所属する特撮スタジオ・白組の演出や、スーザン・ボイルによるエンディングテーマ「夢やぶれて I Dreamed A Dream」も話題だ。
今回、「秘密結社 鷹の爪」の生みの親・FROGMAN監督に見どころを聞いた。
――本作では鷹の爪団団員・レオナルド博士の過去が鍵になりますが、構想はどのように?
いつも作品を作る時に次回作の構想もおぼろげにするんですが、あのころ『ダ・ヴィンチ・コード』の続編『天使と悪魔』が公開すると聞いて、イメージを拝借しようと思っていたんです。『ダ・ヴィンチ・コード』に影響されて、ああいうサスペンスというか推理物をやりたいなと。レオナルド博士は、レオナルド・ダ・ヴィンチの子孫という設定だったし、レオナルド博士の過去を探る物語にしようということでスタートしました。
――レオナルド博士の幼なじみ・ジュリエットの複雑な人生も加わり、物語は深みのある人間ドラマになっています。
レオナルド博士が鷹の爪団を一旦は離れるという要素には、女性の存在があった方がいいと思っていたんです。その女性が、人々から理解されず傷ついている、けなげだけど少し愚か、そういうイメージが今回のジュリエット像になりました。
――ジュリエット役の川村ゆきえさんをはじめ、板東英二さんら豪華な声優陣がゲスト出演されていますが、いかがでしたか?
“鷹の爪”ってFROGMAN1人で声をやることにファンの皆さんが応援してくれていたりするので、ゲスト声優を迎えることは悩んだんですよ。よそさまの映画でも芸能人が声優をやると昔ながらのファンが嫌がったりする。そういう恐ろしさも抱えていて…。でも、実際にゲスト声優の方々とお仕事をさせていただいたら、皆さん作品に対してものすごく意気込みが深くて。特に川村さんはみっちりミーティングと練習を重ねて、ジュリエットの心情を一生懸命自分でそしゃくして理解されて、ものすごくナーバスなお仕事をされてたんです。それを見ていたら、実は適当にやっていたのは自分の方だったなとすごく反省したので、本当に良かったですね。
――劇中での川村さんの演技がかわいらしくて一生懸命さが伝わってきました。
ジュリエットってすっごい一生懸命で、1人で生きるためにバカを装ったり明るく振る舞ったり、心の中で金に汚かったり、ものすごく葛藤(かっとう)を抱えている子なんですよね。川村さんご本人もすごく一生懸命な感じだったので、その辺が上手くお芝居につながっていったなと。
――そんなジュリエットだからこそ、レオナルド博士の言葉少なに見守る格好良さも引き立っていました。
レオナルド博士は完全に高倉健をイメージしました。
――監督ご自身が思う今作の見どころは?
レオナルド博士と少女時代のジュリエットが出会うシーンとかは結構好きです。レオナルド博士の優しさというか人間的なところがうかがい知れる場面で。見どころと言えば、白組さんが作った“博士の動く城”という巨大ロボの登場シーンとクライマックスは1番の見せ場です。それまで積み上げてきたすごくシリアスな展開が、白組さんに作っていただいたクライマックスで全部ぶち壊しになるところが、たまらなくすてきだなと。“あーあー、今までシリアスな展開だったのに、こんなことか”みたいな(笑)。
――山崎貴監督の友情演出は、山崎監督がFROGMANさんのファンということで実現したんですよね。コラボされてみていかがでしたか?
僕らにしてみれば、格上の方々の胸を借りたっていう感覚で、本当の職人の技というものをまざまざと見せつけられたなと。寸分の妥協もないというか、“そこまでやんなくていいんじゃない、山崎さん”って、何度も出かかりました。勉強になりましたね。白組と仕事ができたことに誇りを持ちますね。お金積んだって本当にやってくれないチームですからね。
――エンディングにはスーザン・ボイルの名曲が流れます。監督ご自身も感動されたと聞きました。
スーザンの曲を付けてもらうのは、白組と同じで、格上の相手を自分たちの味方に引き込むみたいな感じだったので、その曲が決まるんだったら脚本書き直すぐらいに思ってましたし、実際にエンディングをスーザンのために変えましたからね。今回の作品は、前2作に比べて肌触りを変えたいっていう思いがあって。お客さんの感想も、スーザンの曲じゃなければ、もっと変わったものになっているだろうなと思うんです。そういう意味ではスーザンのおかげで僕がイメージした作品になったと思います。
――すでに次回作の構想もあるんですね?
「鷹の爪4」は作らない意向なんですけどね。'10年は「鷹の爪」以外の作品も模索していきたいと思ってまして。いろいろな企画を抱えているので、それを動かしたいなと思ってます。
――最後にファンにメッセージをお願いします。
かつてない「鷹の爪」のスケールになってます。白組から始まってスーザン・ボイル、川村ゆきえさん、板東英二さん、もう中学生さん、北海道テレビの藤村忠寿さん、嬉野雅道さん、MBSの「ちちんぷいぷい」、MBSアナウンサーの皆さんも登場して、ものすごくド派手な作品になっていますので、正月第2弾ということで新年の景気づけにぜひご覧いただけると'10年も勢いづくんじゃないかなっと思っております。特に白組の映像は必見なので、よろしくお願いします。
同時上映「古墳ギャルのコフィー コフンデレラ」
TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国TOHOシネマズ系にて公開中