コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、「ボクが妻と初めてデートした時の話」を紹介する。作者の虹走さんが、7月19日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、4.1万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、虹走さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
期待と不安に包まれた初デート
「ケータイ持った、サイフ持った、ティッシュ持った…忘れ物は…なし」と呟きながら、入念に荷物を確認する虹走さん。この日は待ちに待ったUさんとの初対面、初デートの日。緊張で震えながら待ち合わせ場所に向かう。
まだ顔を知らない同士である2人。「服の色は?」「黄色い服を着てるの?」と特徴を聞き、虹走さんがUさんを発見する。Uさんは会ったときからボロボロ泣いていてぎょっとするが、酷い花粉症で症状が出ているだけと聞いてひと安心。
Uさんは「ごめんなさい。せっかく会えたのに…こんなで」と不安そうなようすだったが、虹走さんは「大丈夫だよ気にしないし」「それより早く水族館行こうよ」「イルカ見に行こう」と声をかけて水族館へ向かった。
いつの間にか手を繋ぎながら、デートを楽しむ2人。イルカのショーやペンギンなどを見たり、ゲームコーナーに立ち寄ったり、遊園地へと足を運び、観覧車に乗ったりと2人の初デートはあっという間に時間が過ぎ去っていく。
おそろいのイルカのキーホルダーを記念に買い、移動をする2人。「そろそろ時間だね…」と虹走さんがつぶやくと、Uさんの目にはある異変が起きていて…。
この漫画を読んだ人たちからは、「素敵…」「青春だな」「初々しい感じが良い…」「この物語大好きです!」「お目め気になる…大丈夫かな…」など、多くのコメントが寄せられている。
初デートは“一分一秒がキラキラとした宝物のような時間”だった
――『ボクが妻と初めてデートした時の話』を制作したきっかけや理由があればお教えください。
こちらは元々「ボクと壊された初恋」という漫画の中の一部として描いたお話なのですが、その中でも特に印象深いお話です。ボクと妻が初めて顔を合わせ、初めてデートをした時の事は忘れられません。誰かに話すような事ではありませんでしたが、漫画で自分の話をして誰かに知ってもらう楽しみを覚えたボクにとって、この話を描かない理由はありませんでした。描いていてとても楽しかったです。
――お腹が空いていることを忘れてしまうほど、デートを楽しむ2人の姿が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
初めて付き合った彼女と初めてデートをする…、学生の頃のボクにとってこんなに刺激の強い事はありませんでした。当時はなるべく顔に出さないようにしていたのでUさんにはその心情は伝わっていなかったと思いますが漫画の中ではそれを描きました。
一人の男の子の色んな初めてが詰まった一日。見る方が恥ずかしい様な一日。そこが見所かもしれませんね(笑)。楽しかったのもありましたが、一分一秒がキラキラとした宝物のような時間でした。だからこそお腹が空いている事すら忘れてしまったのでしょうね。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
最後のページの「大丈夫だよ。またすぐ会えるって…だから今日は帰ろうよ。ね?」と言っていますが、これはボク自身にも言い聞かせていますね。あんなに楽しい時間を過ごしたUさんと離れなければならない瞬間…。あの時があったからこそ、もっとずっと一緒に居たいと思うようになりました。
そしてその気持ちは今でも変わりませんね。あれから色々な事があってからこの漫画を描く事になりましたが、当時の自分との気持ちの変化がない事に少し驚き、そして安心しました。
――普段作品のストーリーや展開はどのようなところから着想を得ているのでしょうか。
日常の中から得ている事がほとんどですね。妻との会話や友達との会話。そういう所から漫画を描いています。昔の話を描くときは自分が学生の頃から書いている日記を読んで記憶の取っ掛かりを得ています。
当時は日記なんて誰にも話せないような事を話す相手でしかありませんでしたが、そんな相手が今のボクを助けてくれています。人生、何が起こるか分かりませんね。その日記もこうしてインタビューにお答えしている事も含めて書いていきます。それがまた着想となり、漫画になっていくのだと思います。
――作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか。
できるだけ自分の思った事を正直に描く事にしています。綿密に計画を立てて描くと自分の言いたかった事や描きたかった事が薄れてしまう事が多いので…。あと、意識しているのはボクが自分自身の体験を漫画にする時、相手の思っている気持ちをなるべく描かないようにしている事です。
ボクの漫画は人の話や自分の感じた事を描いていますが、相手の本当の気持ちは本人にしか分かりません。そこは想像でしかないので、それを描いてしまうと自分で見て聞いて感じた出来事に想像して描いた事が混じってしまって正直な事を描くという前提が崩れてしまう気がしているからです。でもこれは漫画として何が正しいかというよりは、ボクの個人的なこだわりですね。
――今後の展望や目標をお教えください。
今の自分達の事や、今回の漫画のような過去話を描いていきたいと考えています。初めて出会って初めてデートした二人。あの楽しかった時間と別れる悲しさから二人がその後一緒に生活する事になります。
でもそれが楽しかったのは最初だけで…。とかそんな話を描いていこうかなと。少し風呂敷が大きくなりすぎてしまっているので、マイペースに描く事にしていますが、楽しみにお待ちいただければ嬉しいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも応援してくださりありがとうございます!これからも夫婦で楽しく過ごしていきます!そしてそれを漫画にしていきますので引き続きお楽しみいただけるととても嬉しいです!