2006年にテレビ映画でデビューし、2010年製作の主演映画「ウィンターズ・ボーン」で大ブレーク。以来、常に日の当たる大通りを歩き続けるハリウッドのスーパースターがジェニファー・ローレンスである。俳優としてヒット作も枚挙に暇がないローレンスが8月15日に34歳になったということで、あらためて彼女の歩みを振り返ってみよう。
“メリル・ストリープの再来”
ローレンスはアメリカ中東部のケンタッキー州出身。2008年にアメリカで公開された「早熟のアイオワ」でスクリーンデビューした。映画初登場にして、いきなりヒロイン役への抜てきである。日本ではローレンス人気が確立した2014年に満を持して公開された。最初に受けた大きな賞は、ヴェネツィア国際映画祭で新人俳優に与えられるマルチェロ・マストロヤンニ賞。「あの日、欲望の大地で」(2008年)における好演が評価された結果だ。同作でメガホンをとったギジェルモ・アリアガ監督は、ローレンスを「メリル・ストリープの再来」と評したという。
2010年には前述「ウィンターズ・ボーン」がアカデミー賞の4部門にノミネート(主演女優賞を含む)、2012年に「世界にひとつのプレイブック」でアカデミー賞主演女優賞を得た。これは「愛は静けさの中に」のマーリー・マトリンに次ぐ、当時2番目の年少受賞者でもあった。この2012年はまた、大反響を巻き起こした主演アクション映画「ハンガー・ゲーム」の第1弾が公開された年でもある。タイプの異なる2つの映画への主演は、ローレンスの驚くべき領域の広さと適応力を示すことになった。
以降も「ゴールデングローブ賞」助演女優賞受賞(『アメリカン・ハッスル』2013年)、「ゴールデングローブ賞」主演女優賞受賞(『ジョイ』2015年)など栄光の道のりは続く。映画「ジョイ」では「アカデミー賞」主演女優賞にもノミネートされているのだが、これは「史上最年少で4度アカデミー賞にノミネートされた」ということも当時話題になった。映画デビュー作で監督からメリル・ストリープを引き合いに出されていたが、現在のオスカー最多ノミネート者はストリープであり、監督の見る目は正しかったのかもしれない。公の場で見せるファッションセンスの面も注目の的で、作品に出れば安定した興行収入をたたき出し、賞レースにも常連の名優の1人という評価も定着した。
「X-MEN」シリーズでも注目
さらに日本でもヒット中の映画「デッドプール&ウルヴァリン」なども連なる人気マーベル・コミック「X-メン」に基づくスーパーヒーロー映画「X-MEN」シリーズで活躍。同シリーズは、遺伝子の突然変異により超人的なパワーが覚醒した人々「ミュータント」の苦悩と冒険を描いたSFアクション・サーガで、ローレンスが演じたのは、“スーパーヒーロー”ではなく“スーパーヴィラン”のレイヴン・ダークホルム/ミスティークだ。ミスティークは自称100歳超えの暗殺者で、声も容姿も自在に変えることができるというキャラクター。ローレンスはX-MENの起源にスポットをあて、ミュータントの第一世代ともいうべき超人たちのドラマを描いた「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」から同役を務め、「X-MEN:フューチャー&パスト」「X-MEN:アポカリプス」「X-MEN:ダーク・フェニックス」にも出演した。
その他、2018年のスパイ映画「レッド・スパロー」では、ロシア出身のバレリーナ役に。「スパロー(すずめ)」という言葉には「スパイ」という裏の意味がこめられている。バレリーナとスパイが結びついていく物語の奇想天外性、その中でのローレンスの立ち居振る舞いにも見応えたっぷりだ。
先日も、アメリカのリアリティー番組「リアル・ハウスワイブス・オブ・ニュージャージー」シリーズにインスパイアされたという映画と、ポール・B・レイニーのグラフィック・ノベル「Why Don’t You Love Me?」を原作とする映画に主演することがアナウンスされたばかり。同作ではプロデューサーも兼任するという。引く手あまたのローレンスが開拓し続ける新境地を、ワクワクしながら定点観測していきたい。
なお、「X-MEN」シリーズはディズニープラスで配信中。
◆文=原田和典
https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/x-men-first-class/
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