コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、8月1日にコミックス2巻が発売されたばかりの、ろじさんが描く『ぼくのパパとパパの話』をピックアップ。
ろじさんが2024年7月31日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、7,000件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、ろじさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
パパが二人の血のつながりがない家族の話
愛と奈央は、ひろと養子縁組をしてパパ二人・子一人の三人で暮らしている。ひろは現在保育園に通う4歳。生みの親がいることは折に触れて話してはいるが、まだあまりよくわかっていない。
ある日、保育園で高い高いが流行っていることを知る愛と奈央。それは、愛のかつての中学の同級生であり、姪っ子を迎えに来ている恵人が子どもたちにねだられてやっていることだった。同級生と再会した愛は、奈央にその話をする。「めっちゃ好きだった」という愛に不安をおぼえる奈央。そんな奈央に、明日は一緒にひろを迎えに行こうと愛は誘う。
次の日二人でひろを迎えに行くと、恵人が子どもたちを高い高いしていた。そして愛は奈央が自分のパートナーであること、ひろを二人で育てていることを恵人に告げる。それに対し恵人は「無関係の子どもが苦労するような道、俺は選べない」と言うが、奈央は苦労しないように守っていくつもりであると言うのだった。
母親がいないこと、皆とちがうこと、子供の世界の広がりと共に浮かびあがる課題に、三人はどう向き合っていくのだろうか。
作品を読んだ読者からは、「色んなことを考えさせられる最高なお話」「こういう未来が見たい」など、反響の声が多く寄せられている。
作者・ろじさん「普通とは何か」
――『ぼくのパパとパパの話』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
「秒で分かるBL」の「パパ&ベイビー」という企画にお声かけいただいたことがきっかけで生まれました。
当時は趣味で漫画を描いており、商業作家として作品を作り続けられるかわかりませんでした。そのため、もし一作しか描けないとしたら何を描きたいかと考えて、養子とパパ二人の話を描くことにしました。
子供の頃から普通とは何かとよく考えていたので、執筆時点での答えのようなものを形にしてみたいと思っていました。
――今作を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
日常を描くことを心がけています。
物語なので、現実ではそうはならないということも勿論含みますが、なるべく日常の一コマとして描くことで、伝わるものがあるのではと考えました。
――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
1巻では愛(主人公の一人)のセリフである「普通ってなんだよ」です。1巻の主軸はこの問いだったからです。これは自分に問い続けていきたい問いでもあります。作品を作る時は特に。
2巻では「どんな親子だって親が勝手に始めるんだよ」という、愛の同級生の妹のセリフです。このセリフが無いと、印象が変わってしまうものがあったからです。
いただいた感想を拝読する中で、このセリフに込めた想いを受け取ってくださる方々がいて嬉しかったです。
――ろじさんは漫画を描く上で、どのようなところから着想を得られているのでしょうか?
着想は特に決まった型があるわけではないのですが、セリフや会話から話が浮かぶことが多いです。
駅まで歩く道すがらとか、花瓶の水を変えている時とか、そうしたふとした拍子に浮かんだ会話から一つの話を作り始めます。
ぽろっとこぼれ落ちたものを拾う感覚です。
――ろじさんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
自分が描きたいものを今後も描き続けることができたら幸せです。そして、私の作るものを求めてくださる方の元に届けられると良いなと思います。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつも読んでくださりありがとうございます。漫画を描くことが私の人生に残ってくれて良かった、と読者の皆様のおかげで何度も思えています。
これからもよろしくお願いいたします。