石田亜佑美、居心地がいいからこそ次のステージに進みたい
――石田さんは9月14日からの秋ツアーで卒業となります。卒業を決めたきっかけを教えてください。
石田:先ほど少し話しましたが、嫉妬心や、私はもっとこうしたいのに、という気持ちをずっと抱えていたんです。それって決して悪いことではなくて、モーニング娘。はそうあるべきだと思っています。もともとオーディションで競い合ったライバル同士から生まれたグループで、バチバチ感はあって当たり前。そういうのもあって、ソロパートを取りたい、取れなくて悔しいというのをすごく持つ人間でしたけど、2年前ぐらいからそれを超えて、そういう感情すらも愛おしいと思えるようになったんですよね。それは私を取り囲む環境がすごく優しくて、私を大切に思って、こんなにも愛してくれる人がいるんだと気づけたことによるマインドの変化ですが、楽しくて、ここにいて幸せだと思えるということは、次のステップに進むタイミングなんだと思うようになったのが大きなきっかけです。
――人って、居心地のいい場所からは離れたくないものです。
石田:そうなんですよ。だから、これを話すとよく言われます。「楽しいのに卒業するの?」って。やっぱり一番楽しい時期だからこそ、もっとこの場にいたいという気持ちはあります。でも、年齢も上だし、立場も上になると、意向が通るようになってしまうんです。私が言ったことに、「じゃあ、そうしようか」って。それは自分がダメになりそうで、だから楽しいを続けるより、ここを出て、新しい挑戦をした方がいいと決めました。
――次に挑戦したいことはもう決まっているのですか?
石田:はい。これとこれとこれの舞台に出て、これをやってみたいというのは明確に持っています。どれも決まったわけではなくて、全てこれからのチャレンジですが、絶対叶えるつもりだし、やれば叶えられると思っています。
――舞台への強い気持ちも知っていますが、石田さんと言えば代名詞はダンス。鞘師里保さん、加賀楓さんのようにダンス方面に行くものと思っていました。
石田:ダンスを止めるつもりはないですが、ダンス一本を突き詰めるより、色々なことをやりたい気持ちの方が大きいんですよね。私にとってモーニング娘。でのステージに勝る興奮はなくて、きっとダンスを突き詰めてもそれは変わらない気がします。だから、違う楽しいことをたくさん経験しようという気持ちです。
卒業の先には可能性しか広がっていない
――生田さん、櫻井さんは石田さんの卒業をどう受け止めていますか?
生田:亜佑美ちゃんはダンスでモーニング娘。を引っ張ってくれ続けてくれた存在だから、いなくなるとどうなるのかな、という気持ちはもちろんあります。でも、今までだってダンスの誰々が、歌の誰々が卒業するというのが当たり前にあって、そのたびにモーニング娘。は変わってきたんですよね。だから、亜佑美ちゃんが卒業したあとのモーニング娘。がどう変わるのかが楽しみでもあります。最後のツアーでは思う存分、楽しく踊ってもらって、輝いている姿を見せてもらえたら嬉しいし、最高のパフォーマンスで沸かせてくれたら、今まで一緒に頑張ってきた甲斐があると思います。
櫻井:私は先輩を見送るのが3人目になりますが、卒業を伝えられるのは毎回寂しいです。卒業に慣れることって絶対にない気がします。今後、石田さんにとっての最後、というのがどんどん出てきて、その1つ1つが終わるごとに寂しさが増していくんだと思います。だからこそ私はポジティブ人間なので、寂しい寂しいなんて言わないで、石田さんと一緒にいられる時間を楽しんで、大切にしていきたいです。秋ツアーの題名は「WE CAN DANCE!」。きっとダンスに特化したライブになる予感がしていて、まだまだ私のダンスに足りものを石田さんから吸収したいです。
――石田さんは卒業後の自分にどんな未来を見ていますか?
石田:可能性しか見えていないですね。私もすっごいポジティブ人間になったんですよ。やれば何でもできる気しかしなくて、私の未来には可能性しか広がっていないなと思います。モーニング娘。としてのライブは秋ツアーで最後ですが、ステージは続けたいし、卒業したら、きっとモーニング娘。のときには見られなかった石田亜佑美を見せられると思います。
――ハロー!プロジェクトを卒業しても、色々な形でファンの前には立ち続けてくれるということですね。
石田:そう言えば明言していませんでしたね(笑)。もちろんです。
今のモーニング娘。の楽曲を大バズりさせるために
――生田さん、櫻井さんは、この先のモーニング娘。にどんな未来を見ていますか?
櫻井:モーニング娘。に加入した日、私は「グループに貢献できるように頑張ります」と皆さんに向けて言いました。その気持ちはずっと変わらず、だからこそ自分が得意にしているものを前面に出して、モーニング娘。をもっと色々な方面にも知ってもらいたいと思っています。私は建築物が大好きで、それがきっかけで「JUNON」で建築に関する連載の仕事をいただいて、その繋がりで私やモーニング娘。に興味を持ったという方もたくさんできました。他にも明石家さんまさんとのラジオ番組「MBSヤングタウン土曜日!」のアシスタントレギュラーが始まって、トークについても頑張っているところです。こういうチャンスをいただいたからこそ、しっかり結果で返していかなければいけないし、これからも私の強みを生かした活動をしていきたいと考えています。
生田:これは私がリーダーになったタイミングでよく言っていたことですが、メンバーみんなにはもっと色々な場で活躍してほしいと思います。櫻井は今話したように頑張っていて、牧野真莉愛は「ラヴィット!」に出演したり、野球のお仕事で頑張ってくれています。そういうところからモーニング娘。の新たな絵が見えていくだろうし、今後も個々の知名度の向上から、モーニング娘。をもっと広く色々な方に知ってもらって、上のステージに上げていきたいです。悔しいですけど、昔のモーニング娘。は知っていても、今のモーニング娘。は知らないという人はたくさんいるんですよね。今のモーニング娘。には「LOVEマシーン」や「恋愛レボリューション21」のように、世間の誰もが知る代表曲がないというのも悔しいです。
――それは今の時代の全てのアーティストに言えることだと思います。ヒット曲が生まれるフォーマットが変わり、アーティストやグループの名前は広まっても、国民的ヒット曲は生まれにくい時代になっています。
生田:本当に新しい方々に楽曲を知っていただく機会が少なくて、出たいテレビ番組にも出られないのは悔しいなって思います。「あの特番、出たかったよね」という気持ちがみんなにあるからこそ、1人1人が頑張って、今のモーニング娘。の楽曲を大バズりさせることが目標です。
取材・文:鈴木康道
UP-FRONT WORKS
発売日: 2024/08/14
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