水季の本音と受け入れざるをえなかった津野に涙
その後、「部屋の片付けしたくて」という水季を津野も手伝うことに。そこで津野は“3人”で過ごしていくことを提案するのだが、水季は「津野さんのこと、好きです」と言いながらも断った。
海の「お父さん」として考えてしまうのは申し訳ないという思い、また「女の恋は上書き保存」とよく言われるが、実際は「別ファイル」で、海がいるから、別れた夏のことを「絶対に忘れられない」という思い。
でもそれは気持ちの中の一部で、大きいのは自分が「今になって恋愛しているのも、それでいちいち前のことを思い出しちゃうのも嫌なんです」ということ。そしてデート中、海の話ばかりしたのは、海がずっと一番と決めて生んだのに、「2人きりでいるのが楽しい」となり過ぎるのが怖かったのだと明かした。
水季が「おしまい」と結んだ恋。でも、靴紐を結び直すため「先行ってて」と言われても、ベンチに腰掛けた津野の背中にそっともたれかかったところは、冒頭の靴紐を結び直しながら津野を待っていたところと合わせて、水季の心が現われていた場面だ。本編第6話で描かれた大学時代の水季は、夏と並んで歩いていたところから前に駆け出して「ゆっくり(歩いてきて)」と靴紐を結び直していたことを思い起こすと、感慨深い。
第7話では津野が水季の死の連絡を受ける場面が多くの視聴者の心を震わせたが、この特別編を経ると、さらなる余韻が深まる。
SNSには「胸がぎゅーってなる」「2人は両思いだったんだ」「号泣した」「津野くんの冷たさ、俺の方が悲しい自信あるって言葉の意味も理解できる回だった」「特別編なのにすごいインパクトの回でした」「津野くんどうか幸せになって」「これからの話により深く入り込んで見られます」といった声が寄せられた。
そして特別編ラストは、水季が津野とのデート前に足の爪に塗ったマニキュア(=ペディキュア)を落としている一方で、夏が弥生に電話をかけ「何してますか」と聞くと、ペディキュアをしていた弥生。この夏の電話の目的は、弥生をデートに誘うことだった。
水季と津野の“恋のおしまい”に対して、夏と弥生の恋の“はじまり”。秀逸に本編と絡み合う描写とせりふの数々で、次回9月2日(月)放送の第9話へとつながる。夏と弥生の恋がどうなるのか注目したい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部