コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、週刊漫画ゴラクにて連載中で、木村航さん作の『ニュークリア』。
作者の木村航さんが8月19日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ反響を呼び、8000件を超える「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、作者・木村航さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
一撃100万円の闇バイト
「こんな国吹き飛んじまえばいい」
学生時代に父の首吊り遺体を発見して以来、瑛人はそう思うようになった。口を開けば増税ばかりの首相会見。老人に得な改革ばかりで若者は蔑ろにされる社会。底辺ばかり搾取されてどんどん貧困になっていく。そんな日本という国に嫌気がさしていた。
そんな中で見つけた闇バイトの求人。一人暮らしの老人の家に侵入し、指定されたものを盗ってくれば100万円という超優良案件だった。
初対面の相棒・智樹と一緒に用意された車に乗り、指示役であるノブナガのメッセージに従って行動する。「あまりに騒ぐようだったらサクッと殺しちゃいましょう。」というノブナガからの指示に一瞬怯む瑛人だったが、この腐った国で人生を逆転するため、大勝負に出たのだった。
仮面を被り、運送会社に扮して家に潜り込む。見るからに貧弱そうな姿に情が湧き、老人には危害を加えずに、ノブナガに指示されていたモノを探し始める。それは押入れの奥に眠っていた。何が入っているかはわからないが、妙に重いバッグ。無事にノブナガからの指示を達成し、安堵していたその時…。
銃声と共に智樹がこちらに倒れてくる。見るとそこには銃を構えた老人の姿があった。
「殺される…。」
何が起きたのか理解できなかったが、とにかく夢中で逃げた。
老人を振り切り、ノブナガに相棒が死んだ旨を報告するも驚く様子は全くない。
老人の正体とは。そしてバックの中身一体は何なのか。そこには決して足を踏み入れてはいけない世界が広がっていて…。
老人のまさかすぎる正体と、一線を越えてしまう瑛人の様子に「怖すぎて、続き気になるわ」「地獄にどハマっていきそうで続きが気になる」と先の展開を期待する声も多く寄せられた。
作者・木村航さん「古参ぶるなら今がチャンスです!笑」
ーー『ニュークリア』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
前作の『チリアクタ』という作品の反動で、次作はとことん重くてダークな作品を描いてやろうという欲求が強く湧いていました。また、少し前に父が亡くなったこともあり、"父親の意志を受け継ぐ2人の男の物語"を描きたいと思いました。そこに当時話題になっていた闇バイトを取り入れ、肉付けしていった結果、『ニュークリア』が誕生しました。
ーー 今作を描くうえで「こだわった点」や、「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
重くてダークな世界観を表現するために、とにかく濃密な絵を描くことを意識しました。その世界で暗躍する一癖も二癖もある個性豊かなキャラクターたちが織りなす群像劇を楽しんでいただけたら嬉しいです。
ーー今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
主人公の瑛人が口にする"こんな国吹き飛んじまえばいい"というセリフが気に入っています。企画の構想段階で入れ込みたい要素はたくさんあったものの、なかなかうまくまとまらずにいました。しかしこのセリフが浮かんだことで全ての要素がジグソーパズルのようにピタリとはまり、ものの1時間程度で1話目のネームを描き終えました。幸い編集者からも好評を得て、即連載が決定しました。“こんな国吹き飛んじまえばいい”というセリフはこの作品の全ての要素を繋ぎ合わせる鎖のようなセリフで、このセリフなしにはこの作品は生まれることはなかったと思います。
ーー木村航さんが漫画を描く際に大切にしていることがあればお教えください。
魅力的なキャラクターを描くことを心がけています。ベタな例えですが、嫌いな人と行く遊園地よりも、好きな人と公園でおしゃべりしてるほうが楽しいのと同じで、魅力的なキャラクターを描くことができれば、それだけで作品に価値が生まれると思っています。なので読者の皆様に好きになってもらえるような、動向を追いたいと思われるようなキャラクターを描くことが何よりも大切だと思っています。
ーー木村航さんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
今は『ニュークリア』を最高の形で終わらせられるように、読者の皆様に継続的に楽しんで読んでいただくために毎日がむしゃらに描き続けることしか考えられません…
ーー最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
これからどんどん物語を加速させて、1巻よりも2巻、2巻よりも3巻が面白くなっていくと思うので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです!古参ぶるなら今がチャンスです!笑ぜひともよろしくお願い致します!!