さまざまな経験を経た今だからこそ表現できる曲ばかりです
――冒頭を飾る「Ever Changing Violet」が「Prologue(はじまり)が終わって」という一節で始まり、『Prologue』からの物語の連続性を感じさせる内容になっています。
今回、リード曲は絶対にデビュー曲を提供していただいたお二人(金子麻友美、睦月周平)がいいとお願いしたんです。お二人なら“富田美憂像”を明確に出してくださり、新たな道も提示してくれる曲にしてくださるはずと、あえて曲の方向性やイメージなどはリクエストしませんでした。想像以上のものをいただき、これは最高の形にしなくちゃ!と、とても気合いが入りました。
――さらに今作中最も発表の早い「OveR」(2022年4月)へ続き、ラストを最新シングル「Paradoxes」(2024年4月)で結ぶ。3年2か月に渡る“成長”を追体験していくようなつくりなのが素晴らしい。
はい。全曲、20代半ばを迎えさまざまな経験を経た今だからこそ表現できる曲ばかり。例えば、デビュー間もないころに落ち着いた曲調の「Make a New Day」をいただいても、もしかしたら「フレッシュだね」で終わっていたかも。「Dear Teddy」は、「一言ずつ繊細に」と今まで以上に歌唱を意識しましたし。「Make a New Day」「Dear Teddy」、ラウド曲の「Oblivion」も、本当に同じ私が歌っているのか⁉というぐらいに、幅広い楽曲を歌えているのは成長の証だなぁって。
――中でも、富田美憂=“クール”という印象を崩す「Sweet Sweet Sweat」には驚きました。
ですよね(笑)。前曲の「la la lai」がタオル振って声出して盛り上がれる曲なので、ガヤとコールで成り立つ曲もほしいなと思いました。そこで園田健太郎さん(※「Sweet Sweet Sweat」作詞・作曲・編曲を担当)にお願いしたら、まさかのすごい曲が……。録音前日に園田さんが「世間が見た富田さんのイメージってこうかな?と思ってさ!」とおっしゃっていて。確かに、超塩っぽさと甘さがいい塩梅で混ざっているのは私っぽいなぁって。この曲が歌えたのも、ある意味で大人になったからですね。