コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、加奈さんがX(旧Twitter)上に投稿した漫画「センパイ、空気よんでください」だ。9月10日時点で8000以上のいいねがつく反響が集まり、話題となっている。今作は、単行本も発売されている。今回は作者の加奈さんに制作の背景を伺った。
放課後図書室で見かけたのは友達のある場面
主人公の田尾は、ある放課後に友達の忘れ物を届けに行くと友達の染谷が男子生徒とこっそりキスをしている場面を目撃してしまう。
すると、そこに現れたのは3年生の先輩・藤江。キスシーンを見て普通に声をあげようとする藤江を思わず止めた田尾だったが、藤江は「あの2人 その…妙に親密だったがどういう関係だ?」と疑問を持っている様子。それに対し、田尾は『さっきの2人を見て分からなかったのか!?』と驚く。
話を聞くと、どうやら藤江はキスをしていた染谷の相手・二村のことが気になって一緒に図書委員になったという。2人の姿を見て胸のあたりが苦しくなり「もしかしてこれが好きってことか…?」と自分の気持ちに気付いたという藤江。仮にそうだとしても染谷と二村はできているので、諦めるか奪い取るかしかないと助言をする田尾に対し、藤江は「初対面なのに色々教えてくれるんだな」と握手を求めてきた。
変な人だと思いつつも翌日の学校生活から空気を読まずに二村に告白をしようとする藤江の姿を見て、放っておけなくなってしまった田尾。この際だからと協力をしようとするが、田尾の中に新たな感情が生まれて……!?
今作は、加奈さんの作品『きみと図書室で』のスピンオフだ。
違う視点からはじまる新たなラブストーリーにぜひ注目してみてほしい。
実際に漫画を読んだ人達からは「買う」「甘酸っぱくて最高です」「ポチってきます」「気になるな」と、いった声があがっている。
今回は、作者・加奈さんに『センパイ、空気よんでください』の制作について話を伺った。
作者・加奈さんの創作背景とこだわり
――「センパイ、空気よんでください」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
きっかけはスピンオフ元である「きみと図書室で」を作ったことです。
当時、雑誌掲載前編・後編+電子マガジン配信×3=コミックス一冊分の掲載枠をいただきまして、
「きみ図書」の染谷と二村は前編後編である程度関係を進める必要があったため、残りの掲載は番外編+新たなCPを作ることにしました。
「センパイ、空気よんでください」の田尾は「きみ図書」後編でチラッと登場させていたのであまり迷いはありませんでしたが藤江にあたる人物をどうしようかとなった時に、「きみ図書」の前に考えていた『平凡な後輩×綺麗な顔の人間不信な癖つよ先輩』ネタ案の『癖つよ』部分が自分の中で引っ掛かりましてキャラデザがほぼ今の藤江だったこともあり『人間不信な癖つよ』を『空気が読めない』に変更して生まれました。
結果的に藤江と田尾の掛け合いが心地よく、描いていて楽しかったです!
――「センパイ、空気よんでください」を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントはありますか?
言葉のキャッチボールが軽快なところです。
二人は性格が真逆そうですがお互い根が真面目なので、田尾は藤江の天然っぷりについツッコんでしまうし、藤江は田尾の発言を真摯に受け止めます。
お互いに無意識ながら一緒にいて飽きない空気感を楽しんでいると思うので、読者さんにもその雰囲気を楽しんでいただけたら嬉しいです。
そして2話の藤江のギャップを田尾と一緒にときめいていただけたら幸いです!
――今作で特にお気に入りのシーンやセリフなどがありましたらお教えください。
1話でしたら、二村に告白するべく渡り廊下を通る藤江を田尾が下から見上げる場面です。
「センパイ」の話を考えているときに一番描きたい!と思ったシーンでした。
田尾が藤江に欲を出す直前の描写なので、あの後頭部に諸々詰めてみました。意味深な風も吹かせつつ…。
2話でしたら、弓道場で田尾の発した「俺、あんたが思ってるほど師匠できてない。相談する相手間違えちゃったね」からキス寸止めするまでの流れです。
ここは1話との間にあと数話あれば説得力が出るだろうなとは思うのですが、田尾が藤江の言葉を遮ってでも気持ちが止められない甘酸っぱさがありそうで気に入っています。
――漫画を描く際に大切にしていることや意識していることはありますか?
キャラクターの表情を豊かにすることです。
まだまだ未熟者ではありますが、セリフで説明しなくとも目の動きや髪の作画で喜怒哀楽が伝わるようにできたらいいなと思っています。
――加奈さんの今後の展望や目標をお教えください。
共感や胸キュンしていただけるような作品をお届けしていきたいです!
自分の描きたいシチュエーションにキャラクターを動かすような感覚がまだまだ抜けないので
「キャラクターが自分たちで考えて、そう行動した」という感覚になれるような漫画が描けるようになりたいと思います。
――最後に加奈さんの作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
最後までお読みいただきありがとうございました!
「センパイ、空気よんでください」は今の自分からすると5年前の漫画になり、目を覆いたくなる部分も多いですが、ストーリーやキャラクターを振り返ることができて嬉しかったです。
オリジナル作品も、コミカライズも楽しんでいただけるよう努めてまいりますので、見守っていただけますと幸いです。