キレッキレの頭脳を助ける未来知識
部下や周囲の人間だけでなく、自分の夫やドジュンの母親にも高慢な態度を取り続けてきたファヨン。“財閥家の一族”として特別扱いされてきたがゆえに、自身の能力を過信してしまっていたのだろう。巨額の借金を背負い、スニャン百貨店も買収されてしまった末路はまさに悲劇だ。
ヒステリックな悪女として描かれてきたファヨンの凋落ぶりはスカッとする反面、未来知識だけでなく人間の心の機微を知り尽くして立ち回るドジュンの頭脳は恐ろしくもある。
だがドジュンの怒りが向けられているのは、あくまで“特権階級”として振舞う一族のみ。ファヨンに責任をなすりつけられて解雇された元財務担当・イム常務とタッグを組み、彼女のえん罪を証明しつつファヨンの横領を公開した。
また次男・ドンギが持つスニャン証券買収には、未来知識が大きく役立つ結果に。持ち前の頭脳と人を見る力、そして唯一無二である未来の記憶という武器を持つドジュンの無双っぷりが気持ちいい。
しかしいよいよ物語の折り返し地点を過ぎたタイミングで、大きな事件が発生。ヤンチョル殺害を目論んで交通事故を仕組んだ犯人が、スニャン一族の中にいる。容疑者は多く、推定される動機は数えきれない。謎が謎を呼び、緊迫した空気感が続く「財閥家の末息子」。ヤンチョルとドジュンの前に立ちふさがる“敵”が誰か、最後まで目が離せない。
東宝