コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、LINEマンガで『クールなふたりは見かけによらない』を連載中で、9月6日に第2巻が発売されたばかりの道雪葵さんが描く『おばあちゃんがきゅうりでできたダッジのトマホークで高速盆帰りする話』をピックアップ。
2024年8月11日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、6.6万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、道雪葵さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描いた際のこだわりについて語ってもらった。
“お盆には早く帰ってきてほしい”亡き祖母のために作られた“精霊馬”は最速仕様
季節は夏。盆帰りの時期になると、あの世では死者がきゅうりで作られた“精霊馬”に乗って家族の元へ束の間の帰省をする。今年もあの世の“精霊馬乗り場”では、盆帰りをするため死者たちが列を作っていた。そして、帰りを待つ家族たちが作った“精霊馬”に乗って帰っていくのだ。
きゅうりに割り箸で足をつけたシンプルなものから、目や飾りをつけて可愛らしく仕上げたものまでたくさんの“精霊馬”が現世へ飛んでいく。本作の主人公であるおばあちゃんは、先に帰っていく死者たちを微笑ましく見送り、いよいよ自分の番が回ってきた。そして、孫が作ったという“精霊馬”を見て驚愕するのだった。
それは、バイクマニアの間で有名な四輪バイク“ダッジのトマホーク”!!素材はもちろんきゅうりだったが、かなり本格的に作られていた。
孫は5歳。こんなにマニアックなものを作れるはずがない…と疑うおばあちゃんだったが、現世の様子を見せてもらうと、バイクに詳しすぎた母親の影響もありつつ、本当に孫がこだわって作った“精霊馬”だった。そして、出来上がった“精霊馬”を仏壇に飾りながら孫が言う、「このバイクはすっごく速いから おばあちゃんをすぐ連れて帰ってきてくれる」と。「ご先祖様を迎えに行くきゅうりの“精霊馬”は速い方がいい」と孫へ教えたのは、他でもないおばあちゃんだった――。
かなりマニアックな“精霊馬”にはじめは驚いたものの、孫の思いに胸が熱くなったおばあちゃんは急いでバイクに跨り、盆帰りを果たすのだった。
本作はお盆の時期になると作者が投稿している作品で、ファンの中には「お盆の風物詩」とコメントする人もいたほか、「とても面白くてほっこりするお話」「大爆笑しました」などの反響が寄せられた。
作者・道雪葵さん「毎年お盆に再投稿しているのにもかかわらず、そのすべてに多くの反響」
――『おばあちゃんがきゅうりでできたダッジのトマホークで高速盆帰りする話』を創作したきっかけや理由などをお教えください。
Xではお盆にきゅうりでユニークな精霊馬を作って投稿する人が多く、なんだか思いやりがあっていいなと思い、私もお盆とユニークな精霊馬をテーマに漫画が描けないかなと思いました。
――本作にはバイクの知識が盛り込まれていますが、道雪葵さんご自身はバイクがお好きなのでしょうか?
私自身は人生でまったくバイクは関わってこなかったのですが、この漫画を描くにあたり、「世界で最速のバイクってどれだろう?」と検索したらこのダッジのトマホークがでてきました。見た目があまりに未来的というかかっこよくて、世界にはこんなすごいバイクがあるのだと驚きました。そこから興味をもち「逆に遅くて有名なバイクはどれだろう?」と他のバイクも詳しく調べ始めました。
――バイクの精霊馬を作画するにあたり、特に力を入れたポイントをお教えください。
ダッジのトマホークは細部が細かく、「キュウリや爪楊枝で実際に子どもが作ったらどこまで再現できるだろうか?きゅうりの輪切りをさらにカットしたら、この部品はそれっぽく見えるかな・・?」と組み立て方を想像しながら描けて楽しかったです。なかなか資料となる写真がネットに少なく、動画を一時停止したり、調べるのに苦労しました。
――X(旧Twitter)の投稿には、多くの“いいね”やコメントが寄せられていました。今回の反響をどのように感じていらっしゃいますか。
実はこの漫画は最初に描いて投稿した旧作と丁寧に描き直して投稿したリメイク作があり、しかも毎年お盆に再投稿しているのにもかかわらず、そのすべてに多くの反響をいただいていて、とてもありがたいなあと思っています。「これを見るとお盆がきたという感じがする」といった旨のコメントもいただいて、この漫画でお盆の訪れを感じていただけたのなら嬉しいです。
――最後に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。
皆さんの大切な方も、お盆の時期に早く帰ってきて、ゆっくり帰っていただけるといいなと願って描きました。亡くなった家族や友人、知人を思い出して寂しくなった時は、また読みに来て笑っていただけると嬉しいです。