ラブストーリーに新しいポジションを作ったカズト横井
──津田さん演じるカズト横井には“最強の当て馬”説が浮上しました。
当て馬って火ドラの名物になりつつあるとも思いますけど(笑)、そんな言葉では語りきれないのが横井なんです。横井のハイライトはやっぱり、“仮彼氏”として“偽家族”に賛同すると宣言した第6話と、西園寺さんとの別れを受け入れる第9話の終わりだったのではないでしょうか。
“偽家族”という突飛な3人のところに現れた、とてつもなく大きな愛を持った人。そんな横井は、物語を大きく動かし、そして大きく包み込んでくれた存在だったと思います。
「当て馬」という言葉にはとてもじゃないけどハマりきらない存在であることは、見てくださった方もきっと感じてくださっていると思います。
──横井がそこまで魅力的に描かれたのは、やはり、津田さんの力があってこそでしょうか。
津田さんはすごく大人でカッコイイ方なんですが、コメディーパートではおもいきり面白い方向に振り切ってくれて。その反対で、シリアスな場面では、あの美しい声と真っ直ぐなお芝居で言葉に重みを持たせ、誠実さを加えて話してくださる。津田さんの魅力が、横井に深みを与えてくださったと思っています。
――後半に進むに従い、どのキャラクターも、当て書きかと思うほどご本人と重なっていったように見えました。
当て書きではないのですが、初期の段階から、キャストの皆さんがそれぞれが演じるキャラクターを分厚くしてくださったんです。だから、だんだんと登場人物が勝手に走り出していく感覚がありました。
特に若菜さん、松村さん、津田さんのお芝居のおかげで人物や物語の輪郭がどんどんくっきりしていって。ご本人たちが持つ魅力と、お芝居の力が混ざり合っていたのだと思います。
最後まで西園寺さんらしくドタバタだけど、“幸せ”と“家族”を考える最終回に
──最終回に向け、視聴者の皆さんへ伝えたいことは?
最後までこの作品らしく、西園寺さんたちらしく、本作でないとできないことを探りながら作った最終回です。もしかしたらびっくりする方もいるかもしれないです。
西園寺さんの突破力、西園寺さんたちのはちゃめちゃでもまっすぐに向き合い続ける姿勢を私も見たいと思いましたし、最終回だからといって全てをきれいにおさめようという意識はあえて取っ払いました。
そういう意味で、私たちにとっても挑戦の最終回です。“幸せって何?”“家族って何?”を考えながら作り続けて、本作を通して私自身の答えもなんとなく見えてきた気がしていますが、きっと、“幸せってこういうこと”という1つの答えは出ない。
だからこそ、なんとなくぼんやり見えている輪郭を少しずつはっきりさせていくために、きっとこれからもずっと考えていくテーマなんだろうなと思います。
ここまで見てくださった皆さんも、きっと西園寺さんたちと一緒に考え続けてくださったのではないかなと思います。強くて大きな愛で繋がっている西園寺さんたちがたどり着くゴールを、ぜひ見届けていただけたらうれしいです。