俳優の吉沢亮が、9月21日に都内で開催された主演映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」の公開記念舞台あいさつに登場。共演の忍足亜希子、今井彰人、烏丸せつこ、でんでん、メガホンをとった呉美保監督と、家族役のキャストがそろって登壇した感想などを語った。
呉監督にとって9年ぶりの長編作品
映画「そこのみにて光輝く」(2014年)などで知られる呉監督にとって9年ぶりの長編作品となる同作は、コーダ(Children of Deaf Adults/きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子どもという意味)という生い立ちを踏まえて、社会的マイノリティに焦点を当てた執筆活動をする作家・エッセイストの五十嵐大氏による自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」を映画化した物語。吉沢は耳のきこえない両親の元で育った息子・五十嵐大を演じる。
今回は五十嵐大を演じる吉沢をはじめ、大の母・明子役の忍足、父・陽介役の今井、祖母・広子役の烏丸、そして祖父・康雄役のでんでんと呉監督が登壇するということで、“五十嵐家”が撮影から1年ぶりに全員集合した。
“五十嵐家”での登壇に、吉沢は「仙台を思い出しますねえ」とロケ地に思いをはせ、「すごくうれしいなと思いつつ。皆さんそれぞれとお芝居をするシーンはあったんですけど、(子役から)僕になってから皆さんがそろうシーンはたぶんなくて。『これが五十嵐家なのか…』っていう、集まったときに新鮮さを感じています。おもろいっすね(笑)。個性豊かと言いますか、すごく楽しい家庭だなと思います」としみじみ語り、ついに家族全員がそろったことを喜んだ。
父子を演じた吉沢と今井だが、実は息子役の吉沢が1994年2月1日生まれの現在30歳、父親役の今井は1990年12月26日生まれの現在33歳で、実年齢では3つしか差がないという。
オファーを受けたときのことを聞かれた今井が「私、いくつに見えますか? 吉沢さんと大して変わらなくて、3歳しか変わらないんです。3歳年上なだけなんですが、父役で大丈夫でしょうか(笑)。28年間の長い期間を演じるということで、非常に緊張しました」と手話で話すと、吉沢は「さっき、裏でエレベーターを待っているときに『吉沢さんいくつですか?』って言われて、『30になりました』って言ったら、『僕、33なんです』って言われて。『えっ!?』って。さっき初めて知った衝撃の事実でした。全然年上だと思っていました…ごめんなさい」と驚いたことを打ち明け、もっと年上だと思い込んでいたことを謝罪した。
忍足、“息子役”吉沢は「本当にすごいと思いました」
一方、母親役の忍足はそんな吉沢の印象を「吉沢さんは一生懸命に努力して手話を習得してくださって、本当にすごいと思いました。最高の息子です!手話だけでなくセリフもありますし、感情も込めた表現をしていく、この3つを併せ持ってきちんと五十嵐大という息子役を表現してくださって、本当に素晴らしいと思いました」と称賛すると、吉沢は照れくさそうに笑みをたたえながら手話で「ありがとうございます」と感謝を伝えていた。
映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」は全国公開中。
◆取材・文・撮影=月島勝利(STABLENT LLC)