隠し味は”みかんジュース” マネしたくなる簡単アレンジレシピもたっぷりの<おっちゃんキッチン>第3話レビュー
北村一輝が主演を務めるミニドラマ「おっちゃんキッチン」が民放公式テレビ配信サービス・TVerとTVer公式SNSで配信中だ。9月20日に配信開始となった第3話では、井筒しま演じるウェブデザイナーの未来がお店に訪れる。母親との親子関係がうまくいっていない未来に提供する学(北村)の料理には今回も視聴者が真似できる簡単テクが詰まっていた。
「おっちゃんキッチン」とは
TVerとKDDIによるコンテンツ共同制作プロジェクトが始動。
その第一弾作品となる本作は、北村演じる“おっちゃん”店主が営むこぢんまりとした食堂を舞台にした配信ミニドラマ。“おっちゃん”の決め台詞「おまち丼(どん)さま」を合言葉に提供される、心を満たす丼グルメと共に、自身の悩みの解決につながる糸口をその丼から得る若者の姿や、若者たちとの手探りなコミュニケーションを通じて自身の“アップデート”を目指す店主の姿が描かれる。
横型動画をTVerで、縦型動画をTVer公式SNS(TikTok、YouTubeShorts、LINEVOOM、X)、それぞれ視点の異なるストーリーとして展開される。
隠し味はみかんジュース?簡単アレンジレシピがありがたい
心を通わせたいなら自分から相手に染まることが大事とお客さんから教わり、「ブリンバンバンボンって曲 流行ってるんだ」と娘のサクラにメッセージを送った学(北村一輝)。しかし、サクラからの返事は一向になく、「返事がないとお父さんは心配です」と“追いメッセージ”を送ろうとした…その時。第3話では、23歳のウェブデザイナー・未来(井筒しま)が「おっちゃんキッチン」に訪れる。
このお店で出てくる料理は「おまかせ」のみ。未来はレモンサワーで1日の疲れを癒しつつ、料理の提供を待つ。するとサッと出てきたのは、今夜のお通し「鶏ささみの梅じそ みかんぽん酢がけ」。隠し味に使われているのはなんと、みかんジュースだ。
第1話から振り返ってみると、学が作る料理には誰もが真似できるテクが詰まっている。例えば、第1話では鯵を南蛮漬けのタレに漬け忘れるも、スプーンで鯵に穴を開け、タレをすぐに染み込みやすくすることで対処。第2話では焼きナスのお浸しにジャコとアーモンドを乗せたお通しが提供された。
今回もポン酢にみかんジュースを混ぜるだけであり、わざわざみかんを買って果汁を絞るなどの手間をかけなくてもいいのが嬉しい。メインの丼ぶりも同様で、いつも買い出しを忘れる学は豚肉とキムチ、ぶり大根、タラと明太子など、冷蔵庫の余り物で料理を完成させる。年の離れた店主とお客さんの交流を描いたドラマを楽しみつつ、そうした料理テクを学べるのも本作の魅力だ。
学が思わず喋ってしまうお客さんの愚痴とは…?
料理の提供を待っている間、いい感じにお酒が入ってきた未来は母親への愚痴を学に語り始める。未来は「ウェブデザイナーより安定した職につけ」だの、「結婚はどうするのか」だの口うるさく言ってくる母親に対しての不満が溜まっているようだ。
演じる井筒しまは、日台ハーフの26歳。映画やドラマ、舞台など幅広いフィールドで活躍しており、2023年に公開された中村英児監督の映画「Good Luck My Load」ではヒロイン役を務めた。今回の作品では気持ちが高ぶって自然と涙が溢れてくる演技を見せており、その表現力の高さが伺える。
また今回印象的だったのは、学のリアクションだ。自身も親子関係に悩んでいるため、思うところがあるのか、何を作るか考えつつも未来の話に共感しているように見えた学。未来は学が作ったタラと明太子の親子丼から、「親子はもっと信じ合わなければいけない」と学び、満足してお店を出ようとする。
ここまで見てきた視聴者ならご存知の通り、学はとにかく無口。お客さんが帰る時もいつもなら無言で送り出す。しかし、今回は未来を呼び止め、「あの…ありがとね」とお礼を告げた。それくらい未来の話には 身に沁み入るものがあったのかもしれない。自分も娘であるサクラを信じようと、学は「返事がないとお父さんは心配です」と送ろうとしたメッセージを消した。
■文/苫とり子