40歳になり「そこにいる意味を考えるようになりました」
――田中さんは今年40歳になりましたが、現場での役割みたいなものは年々変わってきましたか?
そうですね。自分がそこにいる意味みたいなものは考えるようになりました。でも現場によって全然立ち位置は変わってくるので、そこは臨機応変に。今回はしっかり文哉くんが中心にいてくれたので、僕の出る幕なんて全くなかったです(笑)。悪目立ちしないで馴染むぞ…という気持ちでした。
――主演のときはまた違う感じで?
それも時と場合によります。自分が主演でやらせてもらっているときも、現場で空気を作ってくださる方がいれば、自分はあえて前に立ちません。どちらかというと、キャストの方よりもスタッフさんをどう巻き込んでいくかというのを意識します。
キャストは、3カ月ぐらい撮影があると一緒にいる時間が長いので話す機会が多く、放っておいても仲良くなるんです。ただ、現場を作ってくださっているスタッフさんとは、限られた時間のなかで過ごすことが多いので、しっかりコミュニケーションを取ろうということは大切にしています。
――作品作りにおいてスタッフさんはとても大切ですよね。
そうですね。もちろんキャストも大事ですが、僕らがしんどいときは、それ以上にスタッフさんもしんどいはずなんです。本当に好きだからこそできる仕事だと思っているので、少しでも現場が楽しいと思えることが大切ですよね。そのためにはできる限りのことはしたいと思います。毎回成功するわけではないのが難しいところですが。
――「次々と人が消える」という不可思議なマンションが舞台でしたが、これまで田中さんの身に起きた奇妙な体験はありますか?
最初に1人暮らしをした家が、洗面所がブルーで、風呂場がピンク、リビングが異様なまでの白い照明だったんです。内見に行ったときは昼だったので気づかなかったのですが、すごく怖かったので、すぐに照明を変えました(笑)。あれはなかなかの部屋でした。
取材・文/磯部正和
撮影/梁瀬玉実