ラノベ好きの達観系ぼっち、温水和彦(声:梅田修一朗)に、幼馴染みの男子にフラれた姿を目撃されたクラスで人気の女子・八奈見杏菜(声:遠野ひかる)。その偶然(もしくは運命)の出会いから物語が始まるのが、話題のアニメーション『負けヒロインが多すぎる!』(毎週土曜24時30分~、TOKYO MXほか放送中、毎週土曜24時30分~ABEMA、U-NEXT、アニメ放題にて地上波同時配信中/TVerにて見逃し配信中)だ。今回は話数を追うごとに、愛されキャラぶりを増していく「負けヒロイン」=八奈見杏菜を演じる遠野ひかるにインタビュー。作品や役の魅力、演じる喜びや、「敗北」の記憶などをお聞きし、本作の人気の秘密に迫る。
「矛盾してそうなのに両立している」のが杏菜
――遠野さん演じる八奈見杏菜ほか、魅力的な「負けヒロイン」=「マケイン」が登場する本作も、いよいよ最終話間近です。今回はあらためて、本作を振り返っていただきたいと思います。まず、最初に出演が決まった際、どのように思われましたか。
遠野 私はテープオーディションと2回のスタジオオーディションを経て、八奈見杏菜役に決めていただきました。じっくりと時間をかけて丁寧に審査していただいた分、この作品に懸ける私の想いも大きくなっていったので、決定のご連絡をいただいた時はとても嬉しかったです。同時に、審査の過程でもスタッフの皆さんからの熱い想いがひしひしと伝わってきまして、選んでいただいたからにはその気持ちに応えなくては、と身の引き締まる思いでした
――実際、杏菜役を演じるにあたり、どんなことを大切に?
遠野 杏菜は、とても人間味のある子だなと感じるんです。「負けヒロイン」のゆえんたる残念さに目がいきがちですが、クラスの人気者になれるようなコミュニケーション能力、進学校に入学できる知性、恋愛における青さ、はたまた実はもとから装備しているヒロイン力など、ラブコメ作品のヒロインとして多面性があるように思います。
――とはいえ、その多面性を演じるのは難しさもあったのではないでしょうか。
遠野 杏菜には「矛盾してそうなのに両立している」というキャラクター性の複雑さがあります。それが一人の人間としてリアルで好きな部分なのですが、演じるとなるととても難しかったですね。とにかく、一つの面だけを見て、型に囚われないようにと常に意識していました。
――実際のアフレコ収録で印象的だったシーンは?
遠野 思い入れのあるシーンばかりですが、時間をかけて作り上げたという意味では第4話の草介と対話するシーンですね。まとまりきらない、行き場所のなかった彼女の想いが、初めて草介と向き合って溢れ出すところで、私自身「杏菜らしさ」を探し、杏菜と一番向き合ったシーンだったと思います。
――草介にフラレた杏菜に、杏菜をフッた草介、その間の温水という構図で、彼女の揺れる心のうちが見えるような、胸の締めつけられるシーンでした⋯。本作で杏菜を演じるうえで、監督や音響監督からはどんなディレクションがありましたか。
遠野 杏菜の多面性を構成する要素のうち、シーンによってどこを強く見せるのかを細かく調整していただきました。時には、「負け」要素を減らしたり、「もっとやっちゃって!」とコミカルなお芝居の引き出しをこじ開けていただいたりしました。あるいは「ここは素直にドキッとさせたい」とストレートな見せ方を選んだり、杏菜という役と、その場面ごとの繊細なすり合わせ作業を繰り返しました。
――それがあれほどに魅力的な杏菜を生み出しているわけですね。
遠野 先述の杏菜のキャラクター性に通じるお話ですが、どこまでの振り幅を「八奈見杏菜」という人物に収められるか、そのさじ加減を調整しながら、次々に変わる彼女の表情や感情の波についていくのに必死でしたね。また、アフレコは掛け合いの空気感を大切に収録していただいたので、セリフの一つひとつが現場で完成していく新鮮さがあって、自分で演じるのも皆さんのお芝居を聞いているのもとても楽しかったです。
ノーブランド品
発売日: 2024/09/24