現代人の心にも響く時行の名言炸裂!
「死ぬべき時に死ねないのは生き恥」「最高の死に場所を選んだ武士は!! 後世まで人々から讃えられる」と主張する保科。そうした言葉を聞き、時行の脳裏に浮かぶのは鎌倉幕府滅亡の日の光景だ。
あの日、一族のほとんどが逃げることなく討ち死か自害し、自ら天下の舞台を降りた。しかし、その潔さは讃えられるどころか、誰にも関心すら持たれていないことを時行は知っている。だからこそ、保科たちが名誉のために喜んで死ぬのをみすみす見過ごすわけにはいかないのだ。
時行は美しく死ぬ自分に酔うばかりで、領民の都合も考えない武士たちに「身勝手に死ぬ武士の顔など美しいものか!」と訴えかけるが、保科にかけた酒を被って酔っ払ってしまう。最後まで格好がつかないところが時行らしいが、保科の昔馴染みである四宮左衛門太郎(CV:神尾晋一郎)の説得もあり、武士たちを逃すことに成功。保科は「酒も知らん9歳の童がわしよりも修羅場を体験したようなものの言い方…奇妙な子よ」と時行に心を動かされた様子だった。
帰り道、時行は弧次郎に「自害する暇があったら死ぬほど生きたい」と改めて自分の思いを語る。いじめやパワハラ、長時間労働などに限界まで耐え、自ら命を絶つ人も多い現代。本作は約700年も前を舞台にした物語だが、生存本能の怪物である時行を通して、私たちにも逃げることを肯定してくれる。第十一回は、そんな本作の真髄とも言える回だった。
「こんな無様な私の道でも君は一緒に行ってくれるか?」という時行の問いに、「もちろん! 死に様じゃない若の生き様、見届けてもらうッス」と即答する弧次郎。二人の主従関係もさらに強固なものとなった今回のエピソードに、視聴者からは「死に様ではなく生き様、名言であることだなあ」「弧次郎の、信頼する郎党の命を軽んじられてキレた時行は主人の鏡!」「修羅場をくぐるごとに成長していく若様が頼もしくあり、改めて9歳と言われると辛くなる。重い運命だなあ……」「時行×弧次郎、この二人の成長を見れて嬉しい」という声が上がった。
◆文/苫とり子
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