鞘師里保演じる面倒くさがり屋の主人公・面堂露が、万能調味調・めんつゆを駆使してさまざまな時短レシピを開発するグルメコメディーの続編「めんつゆひとり飯2」(毎週水曜夜11:00-、BS松竹東急)が、10月2日(水)から放送スタート。個性的なキャラクターたちが繰り広げるゆるい世界観はそのままに、今作でも露の“ラクして、おいしいものが食べたい”という想いから生まれる新たな最強時短めんつゆレシピが続々と登場。WEBザテレビジョンでは、主人公を務める鞘師にインタビューを実施し、続編ならではのこだわりや本作を通して得た役者としての想いなどを語ってもらった。
「ゆるっとした雰囲気を出すために自然体を心がけました」
――待望のシリーズ続編となりますが、今回のシーズン2の撮影に入る前に準備したことはありましたか?
お芝居の部分では、シーズン1を経て「もっとブラッシュアップしなくちゃ」という気持ちもあり、演じる(面堂)露は「よし、いくぞ!」と気負って向き合うのは逆効果な気がして…。あの“ゆるっ”とした感じが露の魅力なので、自然体で撮影に臨もうと考えていました。
――どういったところをブラッシュアップしたいと思っていたのでしょうか。
コメディーなので、もう少しオーバーに演じても面白かったかもしれませんし、会話のテンポ感にも工夫ができたなと感じていました。そういう細かい部分ですね。例えば、(露の先輩)保ヶ辺さんを演じられた加治将樹さんはセリフと動きのリンクが絶妙で、こちらへ仕掛けてくることを事前に準備されていて、それがすごく勉強になりました。共演の皆さんのお芝居を見て「なるほど」と思うことが多かったので、それを今回は実践したいなと。一つ作品が終わってから「もっとこうしたかった」という反省を活かせる場があるのは、シーズン2だからこそだと思いますし、そういう機会をいただけたならば、しっかりと違いを見せたいなと感じていました。
――その点で言うと、今回はシーズン1からの続投キャストも多いのでお芝居の息も合わせやすかったのではないでしょうか。
そうですね。シーズン1でできた絆がそのままシーズン2につながっていて、その信頼感の中でいろんな話し合いをしながら撮影に臨めたように思えます。こんなゆるっとしたドラマで意外に思われるかもしれませんが、シーンごとにみんなで練習することも多かったんです。「こういう風に動きたいんで、合わせてもらえますか」「ここはバーッと一気に話した方が面白くなりますか」など。脚本や監督の表現したいことをしっかりと撮影現場で昇華できるよう、みんなで力を合わせて取り組みました。
――チームワークの良さも作品の面白さにつながっているような感じがありますね。
作品に向き合う演者はすごく気合いが入っていますが、キャラクターに関しては全然気合いが入っていないので、そこも面白いところだと思います。露をはじめとするみんなのゆるい日常はずっと続いていたんだろうなと思ってもらえるような時間の流れ方があって、とても平和です。
――撮影の中で、印象に残っているエピソードがあったら教えてください。
私が演じる露もそうですが、“食べる”という行為に対してこだわりがあるキャラクターばかりなんです。中でも、保ケ辺さんはカロリーの塊みたいな料理が好きという設定なので、加治さんが食べるシーンではより一層NGを出さないように気をつけていました。
「キャラクターとしての没入感を持ってもらえるようなお芝居をしていきたい」
――本作は、露が作る「味よし、効率重視」の最強時短めんつゆレシピが大きな話題となりました。鞘師さん自身、普段の生活で効率重視のために実践している時短スキルはありますか?
入浴時は、必ず鏡や壁の水を切ってから出るようにしています。それをやっていると、掃除がすごくラクなんです。わざわざこすったりする手間が省けるので、100円ショップで水切りワイパーを買って、お風呂上がりにざっとやるのがルーティンになっています。浴槽の掃除もお風呂に入っているときに一緒にやっているので、それも時短スキルかもしれませんね。お風呂に入っているときに掃除しちゃえば、掃除する時間を作らなくて済むので。“日ごろの習慣にくっつけて何かやる”というのが、面倒くさいことをするときのコツかなと思っています。
――露も、自室にいるときは掃除できるモップスリッパを履いて、歩きながら掃除していますよね。そういったところは、鞘師さんと露の似ている点かもしれないですね。
露に共感できるところ、意外とたくさんあります。「そうだよね。日々、面倒くさいことっていっぱいあるよね」と思いながら演じています。露は、ズボラですけど面倒くさいからダラダラしているわけではなく、面倒だからこそ目的を達成するのに一番自分に負担がかからないやり方を探しているだけなんです。そこがすごく面白いと思います。ズボラとか言われるとネガティブな見られ方をするかもしれないですが、共感できるところが多い愛されキャラだと思っています。
――めんつゆを“魔法の万能調味料”として活用してきた露は、シーズン2でもその万能さを発揮するさまざまなジャンルの料理を生み出しますが、鞘師さんの周りでめんつゆのように「万能と言えば、この人!」という人はいますか?
えー!? 誰だろう。私自身は、忘れ物も多いし皆さんに支えてもらってどうにかやっている感じですけど…それで言うとやっぱりマネージャーさんですね。何でもできるんですよ。ファンクラブのコンテンツを作るためにプロのカメラを買って写真を撮ったり、動画編集できるようになったり。私のために、自宅でお弁当を作って持ってきてくれたり。ものすごく頼りになる万能な人です。
――鞘師さんにとって、関わった作品がシリーズ化するのは今作が初とのことですが、この作品を通して、俳優として成長を感じた部分などがあれば教えてください。
例えば、誰か新しい人と会うときって自分をよく見せたいとか、かっこつけてしまうときってあると思うんですね。私もステージに立つとき、かっこよく見られたいという気持ちが少なからずあったし、俳優業のなかでもちょっと大人っぽい役をやってみたいな、と思うことがありました。でも、この「めんつゆひとり飯」によって、かっこつけたい欲のようなものが全部取り払われた感覚があります。露がそういった役だったのもありますが、体当たりで振り切って演じた結果、自分の中で表現の幅が広がった気もしますし、演じていて爽快感みたいなものがありました。
これまで芝居のプランを考え始めると、それに制約されすぎて凝り固まりがちなところがあり。でも、露を演じるときはセリフとシーンに合わせた最大限の表現をすることができたので、それが自信につながって、俳優として一つ上のステージに上がれたのかなとも思えるようになりました。そういう作品の続編ができる、というのは、私にとってまた一つ成長できるきっかけになりそうだなと思っています。
――お芝居への向き合い方も変わった感じがありますね。
そうですね。“鞘師里保が演じるキャラクター”としてどう見られたいかではなくて、“物語の中でそのキャラクターがどういう風に映ったか”ということをより強く意識するようになりました。「そういえば、これって鞘師里保だったんだ」と言われるくらい、キャラクターとしての没入感を持ってもらえるようなお芝居をしていきたい、と思うようになりました。今回の「めんつゆひとり飯2」でも、個性的な面堂露というキャラクターをしっかりと表現できたと感じています。
取材・文=吉田光枝(スタイリスト:阿部一輝、ヘアメイク:上野知香、衣装協力:ジャケット・ EUCLAID、トップス・UNITED TOKYO、ジャンパースカート・UNITED TOKYO)