やらないアンチより、やる偽善の価値
――ボランティアというのは広め方が難しいと思いませんか?
難しいですよ。だから、今も言葉選びがすごく難しいです。これが記事になったとき、喜んでくれる関係者がいる反面、偏屈なことを言ってくる人も絶対いるのが今のネット社会だし。しかも、それを言うのがまた大人の人なんですよね。
僕が何か言われるのは全く構わないけど、誤解を呼んでしまうのは協力してくれる人たちに申し訳ない。ボランティアが慈善活動と呼ばれるものだとして、慈善活動なのに、偽善だと言われたり。偽善だって別にいいじゃないですか。やって悪いことは何もないし、何か言う人たちからお金をぶん取っているわけでもないし。
――多くの人がボランティアへの腰が重かったり、構えて考えがちな部分はあると思います。
それは分かります。でも、僕の活動だって、大それたことをしているわけではないんですよね。本当に手の届く範囲でそれぞれができることをやればいいわけで。
例えば僕の弟が12歳下の中学生で、いわゆる発達障害なんですけど、個人としては別に普通なんですよ。だけど学校や社会という集団の中で生きていこうと思うと、いろんな苦労を背負うんですよね。僕自身の育ちもそうだし、小学生の頃から大変な思いをしてきた弟を見てきたというのもあって、僕の場合は子どもに向かっているんだと思います。
子どもは子どもで大変なことがたくさんあるじゃないですか。365日の1日なり半日でも、僕が行くことで「楽しかったな」ってなってくれればいい。学校のアルバムを振り返ったときに、その日のことが楽しい思い出として残ってくれていれば嬉しい。それぐらいの感覚なので、皆さんももっとボランティアについて楽な捉え方をしてほしいですね。
今の目標は「子どもたちにも届く」タレントになること
――「手の届く範囲」ということですが、都築さんの場合、知名度を利用して大きな輪にすることもできると思います。
本音で言えば悩ましい部分はあるんですよ。宣伝することによって100のアンチが沸いたとしても、1の「私もやりたい」という人が生まれたら絶対プラスだし、そういう発信の意味はあると思います。けど、今はまだ僕の正義として、大きく発信するに至ってはいないかな。
今回取材を受けたのも偶然、(筆者との)つながりが生まれたからのことで、僕はそういう偶然から始まることを大事にしたいタイプなんです。それが実っていって、ゆくゆくはもっと子どもたちを助けられる動きになればいいですね。
――最後に、本分である芸人としての目標をお聞かせください。
四千頭身としても個人としても、これからどんな活動になっていくかは正直読めないですが、こういう子ども食堂や児童福祉の場に出向いたときに、子どもたちが喜んでくれるような活躍を続けることが今の一番の目標です。お笑いフリークだけでなく、子どもたちにも届くタレントになれるように頑張らないといけないなと思います。
◆取材協力:株式会社都築商店/子ども食堂「○△□子ども食堂」/子ども食堂「ぶんぶく食堂」
◆取材・文:鈴木康道