コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、『自分をかばって怪我をした幼馴染から嫁になってくれと言われた話』を紹介する。作者のはじめさんが、8月9日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、1万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、はじめさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
幼馴染の口から発されたのは予想もしない頼み事
本作は、「ほたるのひかり」という読み切り1巻完結オリジナル漫画の中のエピソード。
阿川清澄は、千田蛍の幼馴染。甲子園常連の強豪校の野球部に所属しており、1年生から4番を背負っていた。
蛍は「俺はあの日、あいつから未来を奪ったんだ」と、清澄を誘ってかき氷を食べに出かけていた時のことを振り返る。
その日、2人は楽しく話しながら歩いていた。すると蛍は道端で鳴いている猫を見つけて「お前ひとりかー?」「親猫はどーした?」と猫を抱いてかわいがっていた。
その様子を少し離れたところから見ていた清澄は、風に煽られてガタガタと音を立てている看板に気が付き「その看板何か…」と蛍に声をかける。
しかし、蛍は猫を抱いて「なあ、キヨ」「こいつ親とはぐれたんかな…」と気づいていない様子。すると次の瞬間、看板が「ガコッ」と音を立てながら、蛍に向かって落ちてきた。
蛍は状況が掴めないまま目を開けると、そこには蛍をかばって腕を骨折した清澄が倒れていた。この怪我により、最後の甲子園への出場が絶望的になってしまった清澄。
蛍は責任を感じて、泣きながら「…何でもする」と清澄に謝った。すると、清澄からあることを頼まれて…。
この漫画を読んだ人たちからは、「重くて歪な感情を向けてるのがかわいすぎる」「あまりにもお似合いの夫婦」「不器用な愛情が尊い」「2人には幸せになってほしい」など、多くのコメントが寄せられている。
罪悪感を利用する不器用な愛
――『自分をかばって怪我をした幼馴染から嫁になってくれと言われた話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
わたしは短めの漫画を作るのが苦手で、今回100p程の漫画に挑戦しようと思いました。そこで「親友が自分のために怪我をして夢を諦めてしまい、そのことに罪悪感を抱えてる主人公がその親友から付き合ってくれと頼まれるところから始まる漫画」という元々ずっと前に思いつき、ストックしていたネタを使って作りました。SNS投稿の際には、パッと内容が分かるような題にしましたが、正式名は「ほたるの光」という漫画です…!
――自分の野球の才能を犠牲にして、蛍に嘘をついてでも一緒にいたいというキヨの思いに心を打たれました。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
清澄はどうしても気持ちを素直に伝えることができず、蛍の罪悪感を利用し、側にいてもらうことに成功します。本当のことが言えないまま、後ろめたさを抱える清澄の不器用さや葛藤を限られたページ数内で描くことが難しかったけれど楽しかった点です。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
清澄の嘘がバレてどういうことだと蛍に叱責され、本当の気持ちを吐露する場面です。「同情でも罪悪感でも俺の側にいてくれるなら何だっていい」と今まで抱えていた想いを絞り出すように伝えるところが今回の作品で一番描きたかったところでもあり、気に入っています。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
特に決まったところはなく、普段生活している中でふと思いついたことをひたすらメモしてストックしています。シーンの一部分だったり、セリフだったり。キャラクターの性格だったり。それをふくらませたり、組み合わせたりして上手くキャラクターを動かすことが出来たものを漫画として形にする感じで書いています。
――作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
キャラクターの表情です。読み手に伝えたいなと思う気持ちを微妙な表情や描き方で表現できることが作画で一番面白いな!と思うところです。
――今後の展望や目標をお教えください。
漫画を描くのはとても楽しいけれど難しくて、頭の中で作ったものを上手く形にすることができなくていつも悩みます。けれどまだまだ描きたい話があるので、これからももっと勉強しつつ色々な漫画を1つでも多く形にしていけたらと思っています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも読んでくださる方々のおかげで漫画を作ることが一層楽しくなりました。これからも色々な漫画を描いていきたいと思っています!良かったらどこかでみかけた際にはまた読んでいただけたら嬉しいです…!