スニャンカードを餌にスニャン兄弟を一気に陥れるドジュン
スニャンカードの正常化に向けた協議会が開かれ、オ・セヒョン(パク・ヒョックォン)とドジュンはミラクル社の代表として協議会に参加する。そこでドジュンは借金救済制度の導入…つまり社会的信用を失った者たちの債務を清算して新たな再出発を支援することを条件に、スニャンカードとデヨンカードの買収を提案。これによってドジュンは、本来ならばヨンギに渡るはずであったスニャン物産の筆頭株主の座も手にする。
同じ頃、故・ヤンチョル(イ・ソンミン)の一周忌の追悼式がおこなわれていた。ミラクル社がスニャンカードを買収したことなど知るわけもないヨンギは、追悼の気もそぞろ。スニャンカードの不渡りが発生するのを、いまかいまかと待ちわびていた。
しかし追悼式に現れたドジュンはヨンギのもとを訪れ、スニャンカードの負債がすべて返済されたこと、そしてスニャン物産の筆頭株主は自分になったことをヨンギに告げる。ヨンギとドンギはそこまで聞いて初めて、“スニャンカードが自分たちを一度に釣るための罠”だったと気づく。
一方で政府は、「透明な政治と成熟した民主主義を目指すために違法献金の捜査に全力を挙げる」と発表。そして図ったようなタイミングでドジュンは「カン・シヌ弁護士への違法献金」容疑で緊急逮捕されてしまう。
ドジュンへの捜査が進むなか、同時にドジュンの秘書であるインソクも事情聴取を受けることに。そして偶然にもドジュンの担当検事となっていたソ・ミニョンは、彼を緊急逮捕したものの事件自体が政治的取引に端を発する罠かもしれない…と確信を持てずにいた。
しかし事態は急変する。ドンギに首を切られたペク・ドンミン(カン・ギルウ)が、自ら違法献金に関与したとし検察に出頭したのだ。しかもその違法献金への関与はドジュンの指示ではなく、ドンギからの指示であったという驚きの供述をする。
窮地に追いやられたドンギのために、妻・ジナはヨンギに助けを求めた。しかしヨンギが兄弟とは思えぬ冷たい態度を見せたため、ドンギらはヨンギの不正告発を決意する。かつてヨンギが妻ジョンレの実家の資金を使って、スニャン物産の株式を違法に買い占めていたことを告発したのだ。
一連の流れはすべてドジュンの計画通り。間も無くして釈放されたドジュンは、そこでソ・ミニョンに「やり直そう」と自分の想いを伝える。いつしか財閥家と検察という立場ですれ違ってしまった2人。「僕がもっと悪くなることはないから」と自分が財閥の力を持って無法を働くことはないと伝えるドジュンだったが、ソ・ミニョンはどうしても信じ切れない。
そこでドジュンは、「だったら僕ではなく、幸運を信じて」と手にしていた新聞を広げる。そこに載っていたのは、「初のメダル獲得に挑戦!」とコピーで煽られる重量挙げ選手のチャン・ミラン。未来を知っているドジュンは「チャン・ミラン選手がメダルを獲得したら再会しよう」とだけソ・ミニョンに告げ、刑務所をあとにした。
いよいよ血で血を洗いだしたスニャングループ、その行く末
兄弟間の裏切りにより、グループの裏金問題にまで露呈してしまったスニャングループ。一族の誰かが責任を取らなければいけない…社内でもそうした声が日に日に大きくなっていた。
そこでヨンギが指名したのは、驚くべきことに息子のソンジュン。親にまで裏切られたソンジュンは検察に出頭したうえで、マスコミに対して「スニャングループの裏金問題の責任は、父であるチン・ヨンギ副会長にあります」と告げた。血を分けた兄弟だけでなく、尊ぶべき父と子の関係でも裏切りと憎しみが交差しはじめる。
一方でドジュンは、ヤンチョルから相続した遺産をすべて寄付したことで世間の関心を集め始めていた。世間からの評価を得たい株主たちは、総会で次期会長にドジュンを選任。ついにドジュンは、名実ともにスニャンを手に入れたのだ。
そしていくばくかのときが経ち記憶通りチャン・ミラン選手がメダル獲得。ソ・ミニョンと再会するため、ドジュンはインソクの運転で彼女のもとへ向かっていた。すると道中で、一台のトラックが道をふさぐように停車している。無理に追い抜く必要もないとインソクに告げたそのとき、うしろから猛スピードで走ってきた大型トラックが車に激突する。
車が潰れるほどの衝撃を受け、血まみれで意識が朦朧とするドジュン。「例外はなかった」というドジュンの心の声が、静かに響く。「前世で起きたことは、現世でも必ず起きる」未来の知識に当てはめれば、たしかにヒョヌがスニャンに務めていたころにドジュンの姿はない。つまり、どこかで必ずドジュンが死ぬことは確定していたのだ。
そして意識を手放す前、ドジュンが目にしたのはヒョヌ…つまり前世の自分の姿。「僕を殺したのは、僕だった」ドジュンとヒョヌの間で起こったこと、これまで語られなかった“ヒョヌがスニャンに尽くした理由”…それらがすべて揃う。
次に彼が目を覚ました瞬間から、物語はついに最終局面に向けて加速する。
東宝