戦力外となった大翔はトライアウトで新天地を求める
息子には戦力外通告されたことを隠していたが、少年野球のチームメイトから聞いたらしく、そのことは直斗にバレていた。
「どこのチームに行くの?」と聞かれ、「まだ決まってないけど、これから決まる。決まったらちゃんと教えるから」と約束。
そして「日本プロ野球12球団合同トライアウト」の日となった。なかなか良い結果が出なかったが、最終打席で見事にホームランを放った。ホームランを打ったのは参加者の中で唯一人。終わった後の取材でも自信たっぷりにコメントし、後はどこかの球団からのオファーを待つばかり。
だが、待てども待てどもオファーの連絡はなかなか来ない。そんな時、イニングナイングループ社の社長・櫻田(坂東彌十郎)から電話がかかってきた。「ぜひ柳澤選手と契約を交わしたいと思っております。一度、お会いできませんか」という内容だったが、プロ野球球団ではなく、知らない会社からのオファーに戸惑う大翔。
櫻田「私にとって社員は家族であり、宝です」
とはいえ、どこの球団からもオファーの連絡が来てない大翔は、とりあえず櫻田に会うことにした。指定された場所は、大きくそびえ立つイニングナイングループの本社ビルの近くにあるさびれた「旧櫻田モータース イニング9グループ 0号棟」という建物だった。
大翔が到着したのと同時に、根鈴華(倉科カナ)もそこに到着した。華は、イニングナイングループ社の総務部で働いていたが、異動の辞令を受け取り、ここにやってきた。
「櫻田モータース」は櫻田の父親の会社で、子供の頃からの思い出の場所。父親のような大人になりたいという思いで会社を作り、その会社は大きく成長した。しかし、会社が大きくなればなるほど社員たちとの関わりが薄くなってしまうことに不安を感じたという。「私にとって社員は家族であり、宝です」という櫻田は、3万人の家族(社員)を幸せにしたいと考え、社員の抱えている悩みを和らげるために秘密の福利厚生組織「シークレット・ベネフィット・オーガニゼーション(SBO)」を作ることにした。
大翔は「SBO」から「ストライク、ボール、アウト」と野球を連想したことを櫻田に伝えると、櫻田は「すべての道は野球につながっていると悟った」と返した。
櫻田は「SBO精神に賛同してくれた犠牲心あふれる勇者たちが社員たちに紛れ、寄り添ってくれています。困っている社員に手を差し伸べ、次のステップに送り出す。そんな彼らや彼女のことを敬意を持って“バントマン”と呼んでいます。究極の福利厚生の手伝いをするのがバントマンの役目。社員全員が幸せになってほしい。その社員の家族にも幸せになってほしい」と、自身の理念を伝えた。そして根鈴に「社長室に身を置きながらスカウティングとバントマンの指揮をとってほしい」と伝えた。
櫻田の最初の契約交渉は失敗に終わった
大翔には「ここで野球すればいいじゃないですか」と、バッティング練習に必要な設備を見せた。櫻田は「ヒーローのホームランは誰よりも美しい。またあの美しいホームランが見たい」と大翔のファンだと明かし、「それと同じようにヒーローの送りバントを見たい」と、人生で一度きりの犠牲バントのことに触れ、「あのバントを一生忘れない。悔しそうな表情を一生忘れない」とチームのために自身を犠牲にしたヒーローはかっこよかったと絶賛。
「犠牲はかっこいいんです。もう一度プロ野球の世界に戻れるまでここで働こう。ホームランを打つ場所が見つかるまでここでバントしよう」と櫻田は提案するが、大翔は「でも、俺はホームランを打つ人間なんで。ランナーを進めるより得点を多く取りたいので、バントはやる気ないです」と断った。
いつでもフルスイングがモットーのスラッガー・大翔。その素晴らしさを知りながらも“犠牲心=バント”をすすめる櫻田。最初の交渉は決裂に終わったが、ここから大翔にどんな変化が起こっていくのか気になるところだ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部