俳優の綾瀬はるかが、10月17日に都内で開催された映画「ルート29」の完成披露試写会に共演の大沢一菜(かな)、脚本・演出を手掛けた森井勇佑監督と登場。舞台あいさつで、綾瀬のことが大好きだという大沢からサプライズでもらった手紙に感動し、涙したり、大笑いしたりする場面があった。
森井監督が約1カ月間旅をして脚本を書いたロードムービー
同作は、デビュー作の映画「こちらあみ子」(2022年)で数多くの賞を受賞した森井監督が、詩人・中尾太一の「ルート29、解放」からインスピレーションを受け、舞台となった姫路から鳥取を結ぶ一本道の国道29号線を約1カ月間旅し、脚本を完成させたロードムービー。他者と必要以上のコミュニケーションを取ることのできない独りぼっちの主人公・トンボ(綾瀬)が、風変わりな女の子・ハル(大沢)を連れて旅に出た先でのさまざまな出会いを描く。
オファーを受けたときに森井監督の脚本を読んでウルッとしたという綾瀬は「一菜ちゃんにお会いできるのを楽しみにしていましたし、監督も同世代ということで楽しみにしていました。私の役はそんなに多くをしゃべったり、何かを表現する役ではなかったので、自然と現場で一菜ちゃんを目の前にしてどういうものが生まれるんだろう…と、緊張とワクワクという感じで現場を迎えました」と、出演にあたっての思いを明かした。
また、森井監督から役作りに関しては「自然体でそこにいる存在を撮りたい」というニュアンスで伝えられていたという綾瀬。今回の役で苦労した点があるそうで「すごくタバコを吸うシーンがあって、それは市川実日子さんと猛特訓しました(笑)」と回顧し、「歩きタバコをするときに手の位置が分からなくて。プハーッてした後の(口元から離した)手はどこにいくんだろうというのも、結構大変でした」と、普段タバコを吸わないからこその悩みを打ち明けた。
一方、綾瀬のことを共演前から大好きだったという大沢は、今作で初共演できると聞いたときのことを「夢かと思いました。そのとき“だけ”監督は神だと思いました」と素直な思いを話して綾瀬や観客を笑わせ、森井監督もタジタジになっていた。
大沢がサプライズで手紙を朗読「まず顔がかわいいです」
そして舞台あいさつの終盤には、綾瀬へのサプライズとして大沢が綾瀬に手紙を朗読する場面が。これには「読む前から泣きそう」と綾瀬が早々に涙ぐむも、大沢の「まず顔がかわいいです」というトリッキーな入りに思わず笑ってしまう。その後も「すごく人がいいです」「家まで送ってくれてママにもあいさつしてくれた」「今度はうちにご飯を食べに来てください」「アクションが格好いい」「また絶対に一緒に映画に出たいという目標ができました」「監督も仲間に入れてあげても…まあいいです」など、絶妙なセンスで感動と笑いをちりばめた手紙に、綾瀬も「最高に面白くて愛のある手紙」と泣いたり、声を上げて大笑いしたりで、ほっこりとした空気が会場を包んだ。
あらためて手紙をもらった感想を、綾瀬は「ありがとうございます。一菜ちゃんはクランクアップのときもお手紙をくれて、たまに読んだらやっぱりそれもすごく感動的で。シャイだったのにだんだん『トンボさん元気?疲れてない?』とか、『何かあったらうちに来てね』とか、最後にはどんどん励ましてくれる存在になっていて。詩集にして飾りたい。本を出しますか!」と森井監督に提案し、森井監督もうなずきながら「すごい完成度の手紙でしたね。感動しました」と、末恐ろしい13歳の才能に感心していた。
映画「ルート29」は、11月8日(金)より東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。
◆取材・文・撮影=森井夏月