松本監督は、碧たちの世代ならではの感覚や感情を脚本に込めるため、脚本制作にあたり、ある工夫をした。「“チームライティングという形で、登場人物と同世代の若い脚本家に入っていただいて、実際に今感じていることを話し合ってもらって、すり合わせながら脚本をみんなで作っていきました」(松本監督)。こうしてできあがった脚本をもとに、キャスト陣との対話も重ね、よりリアルな20代の感情を作品に落とし込んでいった。
込めたいテーマに対してストイックにも思える制作過程。その座長として松本監督がタッグを熱望したのが、 連続テレビ小説のヒロインも務めた国民的女優・福原だ。
「少し重いテーマをたくさんの人に届けたいと思ったときに、最初に名前が挙がったのが福原遥さんでした。碧という役は、福原さんなら演じていただけるんじゃないかと確信がありました。ご一緒して、福原さんはすごく主演の器がある方だなと思いました。みんなを引っ張ってくれながら、気にかけてくれる。出番が一番多くて大変なはずなのに、そこを見せないところが素晴らしい」(松本監督)。
真実が見え始めた3話:「それでも書くの?」
地元の仲良しグループのメンバーが犯人である可能性が高まる中、3話では、梨沙から「碧はそれでも書くの?」と問われた碧が高校時代のある事件を思い出す。仲良しグループの絆が壊れてしまった、あの事件…。碧が「私だからこそ書けることがあるんじゃないかな」と答えを出そうとした矢先、渋谷の事件の犯人が特定される。
1話から東京をメインにした現在パートと富山の回想パートで交互にストーリーが語られ、碧は3話で高校時代の“部室放火事件”にたどり着く。
そんな東京の現在パートと富山の過去パートは、演出面でも意識して違いを出していたそう。「過去のパートは暖色系のぬくもりある色合い、現在のパートは少し冷たいブルーの色合いで構成しました。音響も、東京は小さな場所にノイズがたくさんあるような、世界が広がらないイメージ、富山はもっと抜け感がある広がりを感じる音作りを意識しました」(松本監督)
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