生田は三池崇史や宮藤官九郎によって新しい面が引き出されていった
先述した“共通点”というのは、彼と仕事をする一流クリエイターたちが、“極限”であったり“異常”な状況に置かれてどんどん狂っていく生田の姿が見たくなるのではないかということである。
アイドルや子役の活動をしていた生田は「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」(2007年、フジテレビ系)で注目を集め、「魔王」(2008年、TBS系)や映画「人間失格」(2010年)、「源氏物語 千年の謎」(2011年)、映画「脳男」(2013年)などの主演作が続き、以降もずっと俳優道を突き進んでいる。
8年もの間、映画が3作にわたって続いた「土竜の唄」シリーズ(2014年ほか)で、彼の印象が変わった人は多いだろう。三池崇史監督、宮藤官九郎脚本の「土竜の唄」では、スケベだが熱く真っすぐな潜入捜査官・通称「モグラ」と呼ばれる菊川玲二役で、ド派手かつバカバカしくも大真面目なアクションコメディーを演じきった。三池と宮藤の求める演技は容赦なかったに違いない。“裸まつり”と銘打たれるほど全裸シーンが多く、前貼りももう慣れたものだったという。金髪でギラギラのチンピラ風な服を着て、血だらけの顔でエッチなことを口走っても、汚く見えずきれいなところが生田の強みだ。
“かっこいいことに気付いてない”? 追い込まれた表情が見たくなる役者へ
宮藤官九郎脚本の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(2019年、NHK総合ほか)の三島弥彦役でも筋肉のついた裸を披露していた。名家生まれのトップエリートで運動神経抜群、スポーツ同好会「天狗俱楽部」の名物男で、主人公・金栗四三(中村勘九郎)と日本最初のオリンピック選手に選ばれる男だ。のちに生田は「宮藤さんと一緒に仕事すると必ず服を脱がされる」と語り苦笑いしている。
大河ドラマでは三谷幸喜脚本の「鎌倉殿の13人」(2022年、NHK総合ほか)にも源仲章役で出演し、嫌味でクセのある憎まれ役を演じていた。最期も主役の北条義時(小栗旬)と間違われて公暁(寛一郎)に殺害されてしまい、断末魔を叫びながら退場となる男だ。
三谷は総合司会を務める「情報7daysニュースキャスター」(TBS系)で、生田のことを「どんなバカな役もやっちゃう人」と述べ、「本当にバカに見えるっていうか、自分がかっこいいっていうことをまだ気付いてない感じがいいなって」と信頼を寄せている。
今回、「告白 コンフェッション」の山下敦弘監督は「2018年に企画を立ち上げましたが、難航するシナリオ作業、さらにコロナ禍での2度の撮影延期という憂き目を経て、ようやく映画化することが出来ました。途中、何度も心が折れそうになりましたが、どうにか形にしたい」と、映画公開まで粘ったという。山下監督の見たい“極限状態”の生田がどんな顔をしているか、配信で確認していただきたい。
◆文=ザテレビジョンシネマ部
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