コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、natuumiさんが描く『ごめんねキセラ』(投稿時タイトル『全てが「思い込み」でできた親子の物語』)をピックアップ。
2024年8月23日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、7,300件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、natuumiさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
大好きなママは目の前にいるのに…パパには見えないの?
主人公のキセラはママが大好き。この日は学校を抜け出してママの家に遊びに来ていた。現在、キセラはパパと2人で暮らしている。去年、家で火事が起こった際にキセラを助けられなかったママは、自分を“母親失格”としてずっと気に病み続けていた。キセラは命に別状はなかったが、長く伸ばした前髪の下には酷い火傷の痕が残っていた。
キセラを膝に乗せ、ママは謝罪の言葉を繰り返す。「ママのせいで… ごめんね… ごめんね…」ちょっと恐怖すら覚えるような声色にキセラがママの顔を覗き込むと、さっきまで楽しく話していた綺麗なママの顔はそこにはなく、全身が包帯で覆われたママが繰り返し謝罪の言葉を口にしていたのだ。
「ママが自分を“母親失格”だと思っても、どんな姿でも私にとって『最高のママ』」そう言ってキセラがママを抱き締めていると、学校から報せを受けたパパが迎えにやってきた。キセラは「またみんなで一緒に住もう」と懇願するが、パパは“ママがいるというのはキセラの『思い込み』”だと伝える。そう、去年の火事でキセラを助けた後、ママは――。
ストーリーのラストで語られる衝撃の事実に、読者からは「せつなすぎる…」「鳥肌やばい」「泣きそうになった」などのコメントが寄せられた。
作者・natuumiさん「十年近く前に自身が作成したゲーム『Entity』が元になっています」
――『ごめんねキセラ』を創作したきっかけや理由などをお教えください。
当作品は十年近く前に自身が作成したゲーム『Entity』が元になっています。元から話は良かったのですが表現力が追いついてなかったので、漫画の技術が上がってきた今、セルフリメイクしたって感じですね。当時から話だけは良いと思っていたので正解でした。
――本作を描く上で、特に心がけたところ、こだわったポイントなどをお教えください。
序盤から徹頭徹尾親子愛にこだわって描きました。正直ここまでのママっ子っているか?ってぐらいには仲の良い親子を描くことに注力しましたね。後にそれが全て「思い込み」であると知るキセラの悲しみと、それまでの思い出全てを「思い込み」にしても娘の為に声を抑える母親の姿の為に…。
――作品の中で、natuumiさんが特にお気に入りのシーンやセリフを理由と一緒にお教えください。
やはり最後の「今はそのままキセラの『思い込み』のフリをしていてくれ…!」ですね。元々私は「幽霊も元は人間だから、幽霊が人を驚かせたりするのは何か理由があるハズだ」という考察をしていて、このセリフは「幽霊はなぜ姿を消しているのか」の一つの答えになっています。姿が見えないのに確かにいる、幽霊の怖さと哀愁を確認できるお気に入りのシーンです。
――X(旧Twitter)の投稿には、多くの“いいね”やコメントが寄せられていました。今回の反響をどのように感じていらっしゃいますか。
正直ここまで伸びるとは思っていなかったです。Xでは見栄え重視で、キセラが父親から見ていた母親が思い込みだったことが告げられるシーンを見出しにしてるんですよね。「どんな話だ!?」って惹きつける一方、「見栄えのためにオチを最初に見せるなよ…」みたいな反応もあると思っていた(実際にコメントでも言われた)ので、まぁいつものフォロワーさんにコメントもらえれば良いかなと考えて投稿しました。でも思いの外ちゃんと最後まで読んで、見出しのシーンが伏線の一つでしかない事を理解してくれた人が多くて良かったです。
――今後の展望・目標をお教えください。
実は私、自分で考えて泣いたストーリーが3つありまして、これはその一つなんですね。もう一つが先に話した元となった自作ゲームの『Entity』の前作『Doors』、もう一つが今描いている『災厄の魔女カルメン』(別題『サキュバス奴隷との日常』)です。それらを漫画にして完成まで作れたらなぁと考えています。…あとは描いた漫画をどうにかこうにかお金にして食っていく事が目標ですね…。
――最後に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。
読者の方々、ファンの方々、いつも主人公の設定が重い話ばかり描いてしまいがちな私ですが、そんな私のSNS映えしない作品をこの広いネットの海から見つけて読んでくれることにいつも感謝しています。これからも私の作品をご愛読いただけると幸いです。きっとまた、期待に応え予想を裏切る漫画を読む事ができるでしょう。