コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回はトーチwebで掲載されている読み切りシリーズ「グリンメロングリーン」より、『毎日ポテトを食べてしまう女子高校生の話』を紹介する。作者の小川しらすさんが9月10日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、10万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、小川しらすさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
人と向き合うことが苦手な女の子が向き合うもの
ファストフード店でポテトを注文した女の子・あみか。「いつも来てくれてありがとうねぇ~!」と袋を手渡してくれる店員に、引っ込み思案なようすを見せるあみかは小さくうなずいて店をあとにする。
駆け足で家に帰ると、散乱したリビングにテレビの音が響いていた。テーブルの上に置かれていたお金を手に取り、階段に座ってカップ麺を食べる兄とすれ違って二階に上がる。そして部屋でスマホを見ながら、ポテトを食べた。これがあみかの日常だ。
学校では浮いているようすのあみか。クラスメートの男の子たちから声をかけられても、うまく返事ができない。ただその男の子の1人が突然口にした「そんなにポテト好き?」に、あみかの世界が崩れていく…。
この漫画を読んだ人たちからは、「お兄ちゃんもチャラ男も主人公にも幸あれ」「世界は少しずつ変わっていくんだな」「最後のコマのひと言、これだけで胸が温かくなる不思議」「ちゃんと救いがあった」など、多くのコメントが寄せられている。
ポテトを食べる時だけは癒される表現
――『毎日ポテトを食べてしまう女子高校生の話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
大学生になって一人暮らしを始めた後、ふとファストフード店のポテトを食べたのですがなぜかそんなにおいしいと感じなかったんです。テイクアウトで冷めていたからなのか?でも子どもの頃はこれくらいのあったかさで食べてたし。あの頃の自分にとってはごちそうだったのに。…といったことを考えたのがきっかけで『あみかはポテトになりたかった』を描きました。
――指をしゃぶりながら、マキシのポテトを我慢しているあみかの表情が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
基本あみかは周りに怯えてビクビクしているので、ポテトを食べている時だけはとにかく楽しそうな表情に描くのを心がけました。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
あみかの世界の人物がイモ(ポテト)になってしまう瞬間のシーンです。人物によってイモの大きさやゴツゴツ感を描き分けるのが楽しかったです。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
今までの生活のなかで体験してきた些細なことです。食べたい物やしたいこと、したくないことなど日頃から考えなくても良いことを無駄に考えるクセがあるのでそこから広がったりもします。
――作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
登場人物の心情にもよりますが、安定した線よりも不安定な線で描くようにしています。不安定な線の方が人物が生きている感じがするからです。主な線は先端を削った割り箸にインクをつけて描いています。
――今後の展望や目標をお教えください。
長編でも短編でもとにかく色々な人物が出てくるマンガが描きたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
SNSでの皆さまのご感想を読ませていただいております。どうもありがとうございます!さらに頑張ります。スピードも上げます。これからもよろしくお願いいたします。