コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、漫画誌『月刊ガンガンJOKER』で連載されている『京兼家の花嫁』(スクウェア・エニックス刊)を紹介する。作者の日野杏寿さんが、8月21日に『生贄の花嫁が、変わり果てた姿になってしまう話』というタイトルでX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、6.6万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、日野杏寿さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
退魔師の少年が出会う運命の見合い相手
「妖魔が出たぞ!逃げろ!」と大声が響く。すぐ後ろでは、妖魔が人々を襲っていた。その近くでは妖魔から逃げる途中に転んでしまった女の子の姿が見える。「ひっ誰か助け…」と助けを求めようとするが、大きく開いた妖魔の口に飲み込まれそうになっていた。
すると突然、人間のものと思われる手が妖魔を突き破って出て来る。すると「捕まえたぞ…」という言葉と共に妖魔の腹を割いて少年が現れ、妖魔を撃破した。
少年は「妖魔は死んだ」「もう危険は無い」と女の子に告げる。そして「俺は退魔師の京兼黒朗だ」と名乗った。
黒朗の名を聞いた街の人々は、その悪名に怯えてしまう。「片付けの邪魔だ」「さっさとうせろ」という黒朗の言葉に、一目散に逃げていく人々。
そんな中「こんな所においででしたか!」と言って、“じいや”こと京兼家後見人の佐治が現れた。じいやは「今日のお見合いをすっぽかしましたね!?」と激怒している。
「仕事を優先しただけだ」という黒朗に「まったく…先方はお怒りで破談ですよ」と呆れ返るじいや。また、妖魔に襲われかけたが黒朗によって助けられた女の子を見て「女性にこんな凄惨な仕打ちを…大丈夫ですか」とじいやは心配する。しかし、女の子に向かって鋭い視線を向けた黒朗を怖がった女の子は悲鳴を上げて逃げてしまった。
「こんなだからモテないんですよ」と頭を抱えるじいや。黒朗の父親からの遺言で、良い相手を見繕うように言われていたが、相手探しに苦労していた。
しかし、黒朗は結婚する気はないの一点張り。「結婚したって妖魔退治の何の役にも立たない」「妖魔が憎い」「すべての妖魔を葬り去る」「妖魔に殺された父と母親のためにも」という黒朗。
その様子を見ていたじいやは、「このままではいけない」「どうにかしなくては…」と責任感に駆られていた。その数日後「本日は重大なお話があります」と言って黒朗を呼び出すじいや。
そこにいたのは、「黒朗様の花嫁です」という女の子で…。
この漫画を読んだ人たちからは、「最後にガッツポーズと涙が…」「癖にぶっ刺さりました」「触り完璧すぎて惹かれた」「服装デザインもめっちゃ良かった」など、多くのコメントが寄せられている。
想像を裏切ることにこだわった思わぬ展開
――『生贄の花嫁が、変わり果てた姿になってしまう話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
和風ファンタジーを描きたくて、その中でさらにテーマを絞っていく中で個人的に昔から好きな「狐の嫁入り」をキーワードに考えていきました。
――布由を「やばい嫁が来た」と表現しているシーンに思わず笑ってしまいました。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
「想像を裏切る」ことができるようこだわっています。こういう展開かな?と読者が予想したであろう展開を180度回転させて滝から流して火で炙って扇風機で吹き飛ばしたものをお届けできるよう目指してます!
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
ラストで布由に狐耳が生えるシーンですね。企画作りの時シリアス展開にしすぎて難航していたんですが、担当さんの「狐耳が生えるのどうですか」の一言で本作の運命が変わったので。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
映画、本、ゲーム、怪談、実体験、自分の中に蓄積されたアーカイブからですね。原稿中はNetflixやYoutubeをずっと流していて、作画中は画面はあまり見れませんが音声だけでもインプットして糧にしています。
――作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
インド映画のような、やりすぎなくらいド派手でキメたワンシーンの画面を描くよう目指して作ってます。
――今後の展望や目標をお教えください。
「そうはならんやろ」と思わず皆さんが突っ込みたくなるような展開にしていきたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
有難いことに皆さんのおかげで重版も決まりました。これからも愉快で爽快な作品をお届けしたいと思うので一緒に楽しんで頂けると嬉しいです!
『京兼家の花嫁』を読む
作者X(旧Twitter):日野杏寿
▼ガンガンJOKERで連載中の漫画『京兼家の花嫁』はこちら▼
https://magazine.jp.square-enix.com/joker/series/kyougane/