「ばけばけ」の物語
明治時代の島根県・松江。松野トキ(高石あかり)は、怪談話が好きなちょっと変わった女の子。松野家は上級士族の家系だったが、武士の時代が終わり父が事業に乗り出すものの失敗してしまい、とても貧しい暮らしをすることに。世の中が目まぐるしく変わっていく中で、トキは時代に取り残されてしまった人々に囲まれて育ち、生きにくい世の中をうらめしく思って過ごす。
そんな中、極貧の生活が続きどうしようもなくなったトキのもとに、ある仕事の話が舞い込んでくる。それは松江に新しくやってきた外国人英語教師の家の住み込み女中の仕事だった。まだ外国人が珍しい時代、世間からの偏見を受けることも覚悟の上でトキは女中になることを決意する。
そしてその外国人教師は、小さい頃に両親から見放されて育ち、親戚をたらい回しにされたあげくアメリカに追いやられ、居場所を探し続けて日本に流れ着いたギリシャ出身のアイルランド人だった。
トキは、初めは言葉が通じない苦労や文化の違いにも悩まされるが、お互いの境遇が似ている事に気が付き、だんだんと心が通じるようになっていく。しかも二人とも怪談話が好きだったのだ。
“へんてこ”な人々に囲まれ、“へんてこ”な二人が夜な夜な怪談話を語り合う、“へんてこ”な暮らしが始まっていく。
※高石あかりの「高」はハシゴダカが正式表記