俳優の松下洸平が、10月30日に都内で開催された主演ミュージカル「ケイン&アベル」の制作発表に登場。共演の松下優也、咲妃みゆ、知念里奈、山口祐一郎、エグゼクティブ・プロデューサーを務める東宝株式会社の常務執行役員演劇本部長・池田篤郎氏、アソシエイト・エグゼクティブ・プロデューサーを務める株式会社キューブの代表取締役社長・北牧裕幸氏と作品への意気込みなどを語った。
ベストセラー小説を初のミュージカル化
同作は、イギリスの国民的作家ジェフリー・アーチャー氏のベストセラー小説を原作に、東宝/キューブ製作で世界初演されるオリジナル・ミュージカル。グランドミュージカル初主演となる松下洸平(以下、洸平)が主人公のウィリアム・ケイン、松下優也(以下、優也)が“宿命のライバル”アベル・ロスノフスキを演じるほか、咲妃がフロレンティナ、知念がザフィア、山口がデイヴィス・リロイをそれぞれ演じる。さらに数多くのミュージカル作品を手掛けるフランク・ワイルドホーン氏が音楽を担当し、脚本・演出をダニエル・ゴールドスタイン氏が務めるなど、そうそうたるクリエーター陣が集結した。
ドラマ、舞台に映画など引っ張りだこの洸平は、グランドミュージカル初主演にあたり「ミュージカル自体も6年ぶりということなので、不安やプレッシャーもありますけれど、ブロードウェーの素晴らしいスタッフの皆さん、山口祐一郎さんをはじめ、松下優也さんと共に誰も見たことのない新しいミュージカルを作れればいいなと思っております」と率直な心情を吐露し、「皆さん一緒に一つのゴールに向かって一つの船を漕いでいくといういい稽古場にしたいなと思っていますし、幕が開けてからも毎日新しい発見と出会いに恵まれる作品になればいいなと思っております」と、総勢40人近く出演するというキャストらを引っ張る“座長”として力強く意気込んだ。
そんな洸平とアベル役の優也は今作が初共演となるが、優也は「今回はじめましての洸平さんは、個人的な見方としてすごく内なる炎は感じながらも穏やかでやわらかい印象がありますので、自然とこの2人の関係性を演じていけるんじゃないかなと思います」と印象を明かし、「アメリカのケインとポーランドのアベル、東の松下(洸平)、西の松下(優也)みたいな感じで作っていけたらなと思っております」とおどけながら、共演できることの喜びを伝えた。
大役のオファーに洸平「『僕でいいんですか?』と」
また、あらためてオファーを受けたときの感想を聞かれると、洸平は「ビックリしました。『僕でいいんですか?』という率直な意見です。ミュージカルたくさんお出になってらっしゃる方がいる中で、僕にお声がけいただいたのは驚きましたけど、そもそもデビューはミュージカルでしたし、僕にできることが何かあればという思いで『やらせてください』と言いました」と振り返りつつ、「これだけ素晴らしいキャストの皆さん、スタッフの皆さんがいてくださるので、今は不安やプレッシャーよりも楽しみな気持ちのほうが多いです」と今の気持ちも打ち明けた。
ちなみに優也は“東の松下、西の松下”と冗談っぽく話していたが、共に音楽活動、俳優活動をこなすなど活躍するジャンルは近く、年齢も3歳差という2人。これまで互いにどれくらい意識していたのかと問われると、洸平は「僕は本当に1ファンとして優也くんの曲をずっと聴いてたので、いつかお会いする機会があるんだろうなとは思っていました。それが俳優の現場なのか音楽の現場なのか、と思ったら、どちらでもないミュージカルだったので驚きはあったんですけど、松下優也くんが一緒なら、いい意味で甘えられるかなと思って。頼りにしてます」とラブコールを送ると、優也も「頑張ります!僕も甘えます」と返すなど、早くもチームワークはバッチリの様子。
その上で、優也は洸平に対して「本当にリスペクトしかないですね。お芝居と音楽でこれだけご活躍されてて。指で数えられるぐらいしかそういう存在って日本にはいないと思うので。その中でも音楽性だったり、恐らくやってきた音楽や好きな音楽も似ていると思うし、歌もめっちゃかっこいいし、洸平さんの歌い方が好き」と賛辞を惜しまない。続けて「自分もずっとミュージカルをやってきたというタイプではなく、音楽から始まって役者をやらせていただいているので、洸平さんのすてきな歌と自分なりにやって来た歌がどうやってワイルドホーンさんの楽曲で表現できるのかなと楽しみにしていますし、単純に稽古場から歌を聴けるのもめちゃくちゃ楽しみにしています」と、稽古・本番を共にできる日を心待ちにしていた。
「ケイン&アベル」は、2025年1月22日(水)から2月16日(日)まで東京・東急シアターオーブにて、2月23日(日)から3月2日(日)まで大阪・新歌舞伎座にて上演される。
◆取材・文・撮影=森井夏月(STABLENT LLC)