コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、ポール・ギャリコ著の小説をコミカライズし話題を集めた人気作品「猫語の教科書」(KADOKAWA)をピックアップ。
7月23日にX(旧Twitter)で同作が投稿されると、そのツイートには合わせて3500以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事ではコミカライズを担当した沙嶋カタナさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについてを語ってもらった。
猫族による”人間征服”のための教科書…
ある編集者のもとへ届いた原稿は、文字や記号がまぜこぜでまるで暗号のよう。相談を受けたポール・ギャリコが解読すると、それは数年前に編集者が拾った飼い猫・ツィツァによって書かれた教科書だと判明した。
気になる内容は、まさかの「人間を支配する方法」。“哀れな子猫”を演じたり、泣きまくってみじめな気持ちにさせたり、“声を出さないニャーオ”をやってみせたり…。
こうして、猫族は絶えず変化する歴史の中で高い地位を保ち続けてきたのだ。
主人公の猫・ツィツァに指導を請いながら、猫たちが理想の環境を手に入れるべく人間相手に大奮闘する姿を描いた本作。読者からは「ネコチャンがしたたかで好き」「うちにも現れないかなぁ」「俺も猫にやられた」「猫にあらがえる人間などいない」など多くのコメントが寄せられている。
「実際の猫がしない仕草は出来るだけ描かない」作者・沙嶋カタナさんが語る創作秘話
――「猫語の教科書」をコミカライズした経緯やきっかけがあればお教えください。
過去に発表した「吾輩は猫であるが犬」という漫画を担当さんが見てくださり、それをきっかけにオファーをいただきました。
ポール・ギャリコ氏のことは存じていたのですが「猫語の教科書」は依頼をいただいた時点では未読でした。ただ、担当さんが送ってくださった原作を少し読んだだけで伝わる魅力に「これは絶対コミカライズを担当させて欲しい!」とお返事させていただきました。
――「かわいいお顔」「即落ち」「手玉に取られたい…」など、猫にメロメロな読者が続出していますが、本作を描くうえでこだわった点があればお教えください。
猫の作画はあまりファンタジーになりすぎないように、実際の猫がしない仕草は出来るだけ描かないようにしています。
あとはお金持ちのお家のウィロー以外は、読者の皆様に親しみを持ってもらえるといいなと思い、馴染みのありそうな柄の猫にしています。
――本作の中で特に気に入っているシーンがあれば、理由と共にお教えください。
物語後半の旅人の男性がブラウンを抱きあげるシーンでしょうか。旅人とブラウンはキャラクターもエピソードもコミカライズオリジナルなのですが原作でも特に私が素晴らしいと思った「愛について」という章を表現するために作りました。
彼らを使って原作の伝えたいことを崩さずに表現するために真剣に組み立てて辿り着いたシーンなので印象に残っています。
――沙嶋カタナさんは、本作の第2話のように突然家の前に猫が現れたらどうされますか?
それが昔から姉とともにあちこちで定期的に猫を拾うことがありまして…。漫画家になり家に籠るようになったので出歩かなければさすがにもう保護が必要な猫に遭遇しないだろうと思っていたら、何故か家の前に現れるようになりました。
数時間親が迎えに来ないかなどを確認して見守ったのち、観念して保護しそのまま家族に迎えたり里親さんを探したりしています…。
――今後の展望や目標をお教えください。
「猫語の教科書」は日本と世界の名作をコミカライズする企画、「KADOKAWA Masterpiece Comics」の第一弾として描かせていただきました。今後も素晴らしい作品のコミカライズが続刊されていきますが読者の皆様には是非シリーズで読んでコレクションしていただきたいです。
その際、猫語の教科書も是非お忘れなく手に取っていただければと思います(笑)。
――最後に、作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いいたします。
過去の作品、今回の猫語の教科書、そしてこれから描いていく作品。そのうちのどれかひとつでもふたつでも、読者の皆様のその時の気持ちや状況に寄り添える漫画を末永く描いていければと思っています。
皆様の人生と生活の中で私の作品とご縁がある日を楽しみにしていますので、その時までどうぞ皆さんお健やかにお過ごしください。
『猫語の教科書』を読む
■作者X(旧Twitter):[@sajima_ka]サジマ
■KADOKAWA Masterpiece Comics X(旧Twitter):[@kadokawa_kmc]KADOKAWA Masterpiece Comics