俳優の米倉涼子が、10月31日に都内で開催された映画「劇場版ドクターX」ワールドプレミアに登場。脚本の中園ミホ氏、テレビ朝日の内山聖子エグゼクティブプロデューサー、田村直己監督と共に舞台あいさつを行い、集大成となる「ドクターX」シリーズへの思いを語った。
新設された東京国際映画祭「ウィメンズ・エンパワーメント」に正式出品
同作は、天才的な腕を持ちながらも組織に属さず、フリーランスとして病院を渡り歩くクールな女性外科医の活躍を描く人気ドラマシリーズの“完結作”となる劇場版。2012年10月期にテレビ朝日系で放送された第1弾から12年、集大成を迎える今作では米倉演じる“失敗しない外科医”大門未知子が「ドクターX」になるまでのルーツが描かれる他、未知子に史上最大の危機が訪れる。このほど、開催中の「第37回東京国際映画祭」で新設となった部門、女性監督の作品あるいは女性の活躍をテーマとする作品に焦点をあてた作品が選出される「ウィメンズ・エンパワーメント」に正式出品された。
シーズン1当時から携わってきた“チーム・ドクターX”のクリエーター陣と共に黒のドレス姿で登壇した米倉は、12年の集大成となる今作に「2012年から始まった『ドクターX』がなかったら私たちはここに立っていないんです。大門未知子を生んでくださった中園ミホさんをはじめ内山プロデューサー、監督、スタッフ、皆さんに感謝しています。シーズン1で終わるつもりでやっていた作品がもう1回、またもう1回となって、西田(敏行)さんも参加していただき、最後のこの劇場版ドクターXに…(涙があふれてしまい)ごめんなさい。そこに存在してくれたことに感謝して、今日ここに立っています」と先日亡くなった西田さんにも思いをはせ、涙を拭いながら感謝の思いを述べた。
シーズン1から最後の連ドラシリーズまで高視聴率をキープし、長らく愛されてきたのは“生みの親”である中園氏や、ドラマシリーズで中園氏と共に脚本を担当した林誠人氏がつむぐ物語の面白さもさることながら、やはり米倉演じる型破りなフリーランス外科医・大門未知子というキャラクターの人気によるところも大きい。
あらためて、演じた本人から見た未知子の魅力を聞かれると、米倉は「そりゃ私が聞きたいけど(笑)」と言いつつ、「私にないところで言うと、いつも前進していて、ポジティブに前に進んで、人を助けるとか仕事をしているときの大門未知子と、神原名医紹介所に戻って、ホームにいてお父さん的存在の神原晶(岸部一徳)さんといる大門未知子ってずいぶん違うように見えるんです。でも、どちらもすごく生き生きしていて尊敬するし、1個1個の時間をものすごく充実させている女だなあと」と回答。
それを受け、田村監督から「それは米倉さんと同じですよ」と言われ、内山EPからも「陰で努力しているところは同じですよね」と褒められると、「私は努力家です…なーんちゃって!」と照れ隠しのようにコメントし、会場の笑いを誘った。
米倉「『私、失敗しないので』って結構言いにくかった」
そして大門未知子といえば、難しい医療用語を発するだけでなく「私、失敗しないので」や「いたしません」など痛快な決めゼリフも多いが、本人的に好きなセリフを尋ねられると「『私、失敗しないので』って結構言いにくかった。私、いつも失敗しちゃうんで…階段からも落ちたりするし(笑)」とした上で、「一番好きというか楽しく言えたのは、シーズン1からの『いたしません』が一番楽しかった。たぶん、生きている中でみんなが心の中で(思っていても)言えない言葉、上司や大嫌いな人に言えない言葉とか、とにかく言えない言葉を大門未知子を通して言ってやろうと。そういうセリフは好きでした」と、どんな権力者が相手でも臆することなく、“医師免許がなくてもできること”を求められたときに放つ「いたしません」とバッサリ切るセリフを挙げた。
ただ、こういう分かりやすく痛快なセリフは子どもたちにまねされやすいようで「(道端などで)私の顔を見て『いたしません』って言って逃げていく子がたくさんいましたよ(笑)。何も頼んでないのに」と、笑顔で振り返っていた。
映画「劇場版ドクターX」は12月6日(金)より全国公開。
◆取材・文・撮影=ブルータス・シーダ(STABLENT LLC)