池松壮亮「普段よりも演じることに比重を…」濃密に向き合った映画と“朔也”という人物…俳優としての歩みを追跡<本心>
池松壮亮主演映画「本心」が11月8日(金)より全国公開される。この度、これまで数々の作品で存在感を放ってきた主演・池松の俳優としての歩みを振り返り、濃密に朔也という人物に向き合った本作への思いを掘り下げる。
人は何を失い、何を見つけるのか…映画「本心」
本作は「ある男」で知られる平野啓一郎の傑作長編小説「本心」を原作とし、「月」「舟を編む」を手掛けた石井裕也が監督を務めた最新作。
“リアル”と“リアルではないもの”の境界が今よりもさらに曖昧になった世界を舞台に、「大事な話があるの」と言い残して亡くなった母の“本心”を知るためAIで彼女を蘇らせることを選択する青年・石川朔也と、彼を取り巻く人間の【心】と【本質】に迫る革新的なヒューマンミステリーとなっている。
キャストには、工場で働く青年・石川朔也を池松、その母親を田中裕子、母親の親友であり、唯一秘密を知る人物・三好を三吉彩花、朔也の幼なじみの岸谷を水上恒司が演じ、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡らが出演する。
大河ドラマも控える池松、歩みを振り返る
2003年にトム・クルーズ主演のハリウッド映画「ラスト サムライ」でスクリーンデビューを果たし、その後、日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞するなどめざましい活躍を続けさらに今年はカンヌ国際映画祭で話題をさらった「ぼくのお日さま」や「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」、TVドラマ「海のはじまり」などへ出演。2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」では秀吉役も決定している池松。
“喜怒哀楽”のいずれにも分類されない複雑な感情を、繊細に表現する力がずば抜けており、SNSでも「日本映画界のエース」「本当に天才」など賞賛されている。どんな人物でも豊かに演じることができるとさえ言える池松を、“映像化し、自らで演じたい”と思わせるほどに突き動かしたのがこの「本心」だ。
「演じることに比重を…」直談判の想いを語る
自ら企画を直談判したことについて、「俳優が中に入って色々とやっていたんだなと思われるかもしれませんが、自分としてはあまりこれまでと違うことをやったつもりはありません。当初はこれまでよりも踏み込んで「プロデューサー」というクレジットでこの作品にコミットしていくことを考えたこともありました。ただ朔也という役を考えれば考えるほど、この役に専念しなければ本作を駄目にしてしまうと思いました。本作をより良くする方法は、むしろ普段よりも演じることに比重を置くことでした。」と打ち明けている。
そんな思いで挑んだ“朔也”という存在。表現するにあたって、池松は何度も監督と話し合ったそうで、「(演じ方について)常に話していたと思います。ただ、現場に入る前にじっくり話し合うことができたので、現場に入ってからはとにかく自分がやるべきことを精一杯やることに必死で、気が抜けなかったです」と真摯に振り返った。