今期のドラマもおもしろいのが多くて、どれを見ようか迷っちゃいますね。その中から、ひとくせある女性たちがすてきなドラマ3本をオススメします。彼女たちを見ていると、なんだか元気がもらえそうな。
『無能の鷹』(テレビ朝日系)
スラっとしたスーツ姿、強い目力、美しい笑顔。いかにも「有能な女子」っぽい見た目の鷹野。ところが彼女、実は無能で、会社では楽しそうに動画を見ているだけのニート状態。能ある鷹は爪を隠すといいますが、この「鷹」=「鷹野」には、ありそうに見える爪がない。
彼女と同期の鶸田は逆に見た目が弱々しく、実はとても仕事ができるのに、人に話を聞いてもらえない。
「きっとあの人はこうに違いない」と見た目で判断してしまう私たちの固まった頭を、毎回打ち砕く二人組。同僚も先輩社員も、ハラハラしながら彼らを見守っているけど、マイペースな鷹野を見ているうちにいつの間にかなんだか力が抜けて、会社での悩みがゆっくり解決していく。その様子を見て、私も一緒にほんわかしています。
『モンスター』(フジテレビ系)
ダボっとしたラフなパーカーを着て「ニッ」と笑うキュートな姿。「モンスター」の神波もまた「弁護士とはこういうもの」というこちらの思い込みを打ち砕く存在。
「そんなことしていいの?」と同僚の若手弁護士・杉浦がびっくりするような手段をとる、型破りな彼女の弁護。ガンガン強引に突き進み、言葉づかいも悪い。けれど彼女は「善」「正義」などのふわっとしたものに逃げずに裁判に勝ち、人生に行き詰まっていた依頼人たちが壁を越えていく手助けをする。かっこいい……けれど、謎に包まれている神波弁護士の正体。失踪中の父との間になにか秘密がありそうで、それが明らかになるのも楽しみ。
『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)
「軍艦島」として知られている、「端島」。この島を巡って二つの時代を行き来する、複雑な構成のこのドラマ。
過去の時代の端島の女性たち三人が、それぞれ個性的。奔放に見えるけれど実は違う百合子。食堂で休みなく働き、ひそかに片思いをしている朝子。端島にやってきた、謎の歌手リナ。三人それぞれの恋と悩みが、小さな端島の中でぐるぐると渦巻いている。
端島は今は無人島になっていて、もうあの日の彼女たちはそこにはいない。あんなに瑞々しく島で生きていた三人は、そのあとどんな人生を生きたのか。彼女たちと島で暮らしていた鉄平と顔がそっくりな、現代のホスト・玲央。鉄平と玲央は、どういう関係なのか。鉄平と彼女たちの誰かが、あのあと結ばれたのか。
そして玲央に近づく謎の老婦人いづみは、端島の女性三人のうちの誰かなのか……ああ、気になります。
■文・イラスト/渡辺裕子