「ある日~真実のベール」の最大の見どころは、そんな彼の圧巻の演技力。事件前は頼りなげで、自立心に欠ける子供っぽい大学生だったヒョンスが一夜にして奈落の底に突き落とされ、不安と恐怖に襲われる。どこか他人事ではないような、誰もが巻き込まれる可能性のある事件だと感じさせるようなリアリティが、そこにはある。刑事の前で「やっていません」と泣くときの絶望の感情も真に迫っていて、緊迫感を急激に高めていく。
ジョンハンという味方を得たことで少しずつ落ち着きを取り戻すヒョンスだが、拘置所で壮絶なリンチに遭い、家族の想像を絶する現状を知って再び絶望の淵へ。そんな中、ジテに「重要なのは、ここでどう生き残るかだ」と教えられ、戦い方を叩き込まれて、ヒョンスは別人のように、隙のない冷たい目をした男に変わっていく。セリフは少なく、かわりに豊かな表情でその変化を体現するキム・スヒョンの一挙手一投足から目が離せなくなる。
チャ・スンウォン、キム・ソンギュが演じる2人の“キーパーソン”
共演陣にも、実力派俳優がそろった。ヒョンスを救うために奮闘する弁護士シン・ジュンハンを演じるのは、「最高の愛〜恋はドゥグンドゥグン〜」(2011年)や「私たちのブルース」(2022年)のチャ・スンウォン。キム・ソンホ主演のドラマ「暴君」(2024年)では、残忍な性格と丁寧な口調がアンバランスな殺し屋イム・サン役で強烈な印象を残したばかり。ドラマで見せる強烈なキャラクターとは対照的に、農村で自給自足生活に挑戦するバラエティシリーズ「三食ごはん」では気さくで親しみやすい素顔も見せるベテラン俳優だ。
冷酷な中にもそこはかとなく漂う愛嬌が、チャ・スンウォンの持ち味。弁護士シン・ジュンハンも、“アイドルフェイス”なヒョンスに興味を持ち、弁護に取り組んでいく。「警察は今ストーリーを作ってる。こっちもストーリーを作って、判事が気に入ったほうを選ぶ。それが裁判だ」と、独自の考え方で裁判に挑んでいくジュンハン。そんな彼とヒョンスとの間に芽生えていく絆が、この物語の希望の光ともなっていく。
拘置所でヒョンスに生きる術を叩き込むト・ジテの存在も大きい。演じているのは、大ヒットドラマ「キングダム」シリーズで“アクションのエース”的役割を果たし、一躍ブレイクした俳優キム・ソンギュだ。本作では、するどい目つきですごみのある雰囲気をまとった拘置所の絶対権力者をカリスマある佇まいで表現。心折れかけ、他の受刑者の餌食になりそうになっていたヒョンスは、ジテとのかかわりで別人のように変化を遂げていく。
「ある日~真実のベール」
【放送日】11月25日(月)スタート 毎週(月)~(金) 22:00~
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