艶やかに9人が舞い踊る「蛍光灯再生計画」看板公演
第三幕、2日目昼公演は“セクシー”タイプ「蛍光灯再生計画」(河瀬詩、四条月、月城咲舞)による看板公演。極彩色のネオンサインに彩られたステージで、煌びやかな着物ドレスに身を包んだ9人が舞う「絶望の花」は艶やかで、百花繚乱ここに極まるといった幕開けに。
「どれだけウェーブ(の振り)を入れても怒られないから、いつもよりクネクネしたい」と宣言するのは、他ユニットながら「蛍光灯」のダンスが大好きな相川。その言葉に火が着いたのか、ユニット最新曲「赤いバラの理由」はフラメンコのような激情感を持って激しく咲き乱れ、それでいて凛とした一輪の花が持つ美しさを物語る。
得意のダンスに加えて、歌唱面でも確かな成長を感じさせる月城。ずぶ濡れになって始まる「読みかけの漫画」から「空のエメラルド」へとポエティックなストーリー仕立てで選曲された「お天気パート」では、3人を中心とした和傘のパフォーマンスが行われ、しなやかで美しい姿が目を奪う。
「見つけろ! 僕のホロスコープチャレンジ」と題したコーナーでは、引いた数字の数が正解人数になるようにファンへ質問を出題。3ユニットの結果を足すと、求めていた「6」になることに気付いた天城の機転で「やっぱり別れていちゃダメなんだ!」と、奇跡の大団円を迎えるも、賞品としてリボンの巻かれた蛍光灯が贈られ複雑な顔を見せる他メンバーたち。
まさかの9人で美の女神像のごとく悩ましいポーズを取り、珠玉の一瞬を作り出した「交換条件」。「それが愛だ」と、真っ直ぐに見つめる河瀬の瞳に射抜かれる。
本編ラストナンバーの「命のつづき」では、四条の魂を揺さぶる叫びに息を飲む。女性的な魅力を知性と清純さを芯に表現する3人の選曲は、全体的にメッセージ性が強く重みがあったが、どこか卒業したユニットメンバーへのリスペクトも感じられたため「蛍光灯再生計画」の“再生計画”という一面もあったのかもしれない。
ここまで、それぞれの公演をリポートしたが、全員で過去衣装を着て、相川、月城の振り付けで披露したダンストラックとその衣装の楽曲は大いに会場を沸かせた。前回の涼花萌の卒業コンサートでは、後輩メンバーが1人一着ずつ着ていた過去衣装が、ついにそろいの衣装となった。
さらに今回の試みでは、看板ユニットのイメージの中で他ユニットのメンバーがその空気感を借りるように、同じ全体曲でも公演ごとに色を変える印象で、あらためて9人の持つ表現の幅に驚かされた。例えば「Just hear and now」の麻丘と相川の公演ごとのせりふの違いは、1つの見せ場に違いない。
また、全公演で選曲された「佐藤さん」は、観客の頭を「佐藤さん」の連呼でシェイクするかの異彩を放ち、バラエティ豊かな22/7が誇る楽曲として、今後さまざまな場面で披露してほしいと思わせる説得力があった。
千穐楽のアンコールでは14thシングルを初披露
ついに迎えた千穐楽は「ナナニジ周年大音祭」。毎年、さまざまな趣向を凝らして周年を祝ってきたが、今回はデビュー曲「僕は存在していなかった」からリリース順に披露するという、自分自身を信じることから始まり真っ直ぐに進んできた道で真っ向勝負するかの構成。
さまざまな思いと共に受け継がれてきた楽曲が7年という歴史を語ると同時に、これから向かっていく先への希望を感じさせ、「理解者」の「思い出とかじゃなくて 未来はここにある」というフレーズがひときわ輝く。
「7年だって」と顔を見合わせる天城と西條。「合格した全員とも影が薄かった」と笑いながらも、最終審査の日に天城が自撮りした写真の背景に、たまたま他の10人が写っていたという運命的な逸話を明かす。
結成5年目に加入した河瀬は、憧れを抱いて見ていた「何もしてあげられない」は今でも胸がきゅっとなる曲だと語る。河瀬の初期メンバーに対する敬語がなくなったのは、後輩メンバーたちの加入がきっかけだった。
ユニット看板公演同様、この公演でもまた新たな加入前の衣装を着ることができた6人。2曲目の「シャンプーの匂いがした」からすでに泣きそうになっていたという相川に、椎名も激しく同意する。衣装の丈を直してもらって着る中で気付いたのは、先輩たちの背が平均的に高かったこと。「存在的にだけでなく、物理的にも大きかった」と尊敬の念を伝える。
曲の合間にはせりふはないが、雄弁に彼女たちの物語を伝える少しの芝居が組み込まれる。西條が天城から差し出された手を取り、頷き合う。その後ろからやって来て、2人の肩を抱いた河瀬。それは、不思議とアニメ「22/7」で描かれたキャラクターたちのドラマとも重なる関係性だった。
そして、そのさらに後ろから駆け寄り、飛びつく勢いで抱きついた後輩メンバーたち。ギュッと強く抱きしめ合う9人の体温が伝わる光景は、温かな涙と共に“22/7第二章”の訪れを思い出させる。
「曇り空の向こうは晴れている」の望月のセリフは「希望ちゃん」の呼び名が表すように、未来を指す光となる。当時はコロナ禍でマスクをしていたこともあり、互いの顔をちゃんと見られていなかった中で、望月が天城に「もっと見てください!」と迫ったというエピソードも、パワフルな後輩たちとの融合で進化を遂げた22/7へとつながるエピソード。
相当な曲数ながら、あっという間にたどり着いた本編ラストナンバーは、最新シングル「YESとNOの間に」。メンバーたちのかわいらしいパフォーマンスはもちろん、アニメタイアップとなった喜びも相まって、会場は最高に高ぶる。
アンコールで9人は、白いブラウスとミニスカートにレザーのビスチェ、ロングブーツというこれまでに見たことないイメージの衣装で登場。そして、電撃披露されたのは2025年2月26日(水)発売の14thシングル「ロックは死なない」。
ギターを弾く振りも印象的な熱いロックチューンで、また新たな魅力を開花する22/7。しかも、2025年1月放送のアニメ「不遇職【鑑定士】が実は最強だった」のエンディング曲という2作連続のタイアップとなり、3階席まで埋め尽くされた会場中に興奮の声が湧き上がる。
本編中「歴史を振り返ることができるアニバーサリーライブ。いつナナニジを好きになろうかと思っている人には、今日が1番良い日だと伝えたい」と話していた天城が、代表して最後のあいさつ。
「8年目に突入する今、こうしてうれしい発表からスタートできて本当にうれしいです。皆さんへの感謝の気持ちを日々忘れず、この幸せを噛み締めながら8年目も駆け抜けていきます。これからもナナニジについてきてください!」と締めくくった。
なお、12月には恒例のキャラクターライブである「22/7 CHARACTER LIVE 2024~RED or WHITE?~」、メンバーと一緒に鑑賞するイベント「22/7 ナナ虹≪忘年≫会」の開催も発表された。